~早春の花をめでる山歩き~ |
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あずまやさん
2001.3.3 曇り一時晴れ 秩父鉄道三峰口駅7:51~(バス)~8:30間庭バス停~9:00堂上(節分草園)9:40~9:50大堤~10:55四阿屋山11:30~11:45奥社~11:50山居園地12:45~14:10薬師堂バス停(薬師の湯)15:48~(バス)~16:10三峰口駅 |
●堂上の節分草園へ 三峰口発の村営バスに乗ったのは自分を含め2人だけ。朝一番のバスとは言え、フクジュソウの咲く頃の土日は混むと思っていたが、それほどでもないようだ。
今日は四阿屋山(あずまやさん)に登る。今年最初の山野草、フクジュソウが目的だ。しかしその前にひとつ寄り道をする。四阿屋山の南にある堂上(どうじょう)のセツブンソウを見に行く。 両神幼稚園(間庭)バス停で下りて、西方に伸びる細い車道を進む。途中の分岐で道を間違え、地元の人に聞き引き返す。黒橋を渡り、白井差方面へのバス道路に出会う。 小森川沿いの車道歩きが続くが、ほどなく四阿屋山ハイキングコースのひとつである押留コースの登山口を見る。さらに行くと今度は大堤、ツツジ新道コースの取り付き口。 あたりは陽光が柔らかに注ぐのどかな山村の風景。犬に吠えられたり、路端に咲く小さな花をめでたりして、小さな春の雰囲気に浸る。
やがて堂上のバス停が見え、節分草園の看板が目に入る。小さなプレハブの建物の前に受付があり、横では地元の野菜か何かを売っている。入園料として300円払う。受付の人に聞くと「今日からお金を取るように(上の方から)言われた」とのこと。昨日まではタダだったのか? セツブンソウの花期は、ここでは普通3月上旬から。実は今日来るまで、咲いているかどうかわからなかった。園地に入ってみるとちらほら咲いている程度。よく目をこらさないとわからないのだが、まあ少しでも咲いてくれていてよかった。 花びらのように見える白い5枚のがくの中央に青と金色の花部と、早春の花にしては意外と派手な配色で、小さな花であるが、モノトーンの冬景色に文字通りパッと花やいだ印象を与える。 カメラと三脚を持った人が、もうすでに10人くらいいる。皆、「まだ少なくて、いい被写体がないね」と言う。自分も、少ない個体数の中でも日当たりのよい場所に咲いているものを選んで写真に収める。 40分ほど撮影し、園地を後にする。先ほど確認した大堤のツツジ新道登山口に向かう。
●ツツジ新道から四阿屋山へ 登山道は初めは植林帯の山腹をジグザグに登って行く平凡な道。急坂が続き息が切れる。 やがて明るい竹林に入るとほどなく、山居への分岐に出会う。「ここから先は鎖場があり上級者向けです。初心者は山居へ迂回してください」とあるが、たいしたことはないだろうと思い山頂に進む。 途端に鎖でよじ登る厳しい岩場が現れる。角度は垂直に近く、蛇行していて狭いので、足場がなく鎖にぶらさがり気味に上がる。樹林帯から突然の岩場の急登で、体がキツい。高度はみるみる上がり、背面に秩父の山並みが見えてくる。 鎖場が連続するが、最初の鎖場の登りが一番厳しく、あとは足場も豊富で汗をかきながら快適に登る。傾斜が緩くなると岩場のヤセ尾根となり、雪も目立ってくる。左右とも切れ落ちているところはけっこうスリルがある。 人の声がし出すと、ほどなく山居からの一般登山道と合流する。再度鎖場となり、狭い四阿屋山の頂上へ。正面に両神山がとても大きい。右に二子山の2つのピークも目立つ。四阿屋山は花で有名な山だが、この頂上からの西面の眺めも捨てたものではない。ここまで来るとさすがに人出が多くなる。後から後から登って来る。
●フクジュソウの咲く山居園地へ 昼食後、薬師堂へ下山開始。先ほどの分岐点まで戻り、山居園地へ向かう下り坂はシャーベット状の雪が付いた鎖場が連続する。これでは、フクジュソウ園地まで来た一般客は登ってこれないだろう。 団体が登って来ると、道が空くまでかなりの時間の待ちぼうけとなる。両神奥社を過ぎると待望のフクジュソウの園地となる。
柵で囲まれた園地には、一面に咲いているわけではないが、鮮やかな黄色が目にまぶしいくらいだ。まだ四分咲きとのことで、やはり今年は雪が多かったせいか開花も遅めのようだ。園地には一部雪が残り、そういう所にはやはり花が咲いていない。 (後記:ここ一帯に咲いているフクジュソウはどうやら自生ではなく、福寿海という園芸種の植生とのこと) 登山者と観光客でかなりの人出。人が歩く道はもうグチャグチャである。こんなところで転んだら目も当てられない。園地を一回りし撮影する。
園地からさらに下り、しばらくするとロウバイという梅の咲く道となる。かなり匂いの強い梅だ。展望休憩所では雪をまとった武甲山の姿が目を惹く。少し下ると早咲きの紅梅も咲いている。 (後記:ロウバイは梅の仲間ではなく、ロウバイ科の落葉低木) ここからは車道と登山道を交互に歩く。北東に面した山道は雪が溶け出してぬかるんで歩きにくい。泥で重くなる靴を小沢の水で落しつつ、ようやく麓へ下りる。ミツマタが咲いていた。畑に植えられている野菜などを見ると、里には春がやってきた印象を強くする。 薬師堂バス停から数分のところにある両神温泉「薬師の湯」に寄る。肌がツルツルになる良質の硫黄泉だ。 歩いた時間は3時間ほどだったが、見所の多い早春の山行となった。
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