栃木・群馬の県境に位置する仙人ガ岳(標高663m)。登山道にカタクリが咲いたとの情報を得て、出かけた。
この付近の低山は安蘇(あそ)山塊と呼ばれ、昭文社のエアリアマップの掲載外であまりガイド本にも載っていない。こういう時はインターネットの情報が役に立つ。
5時20分赤羽駅発のJR宇都宮線に、今日は間違い無く乗る。久喜で東武線に乗換え足利市駅で下りてバスに乗る。バスは7時30分発を逃すと10時台までない。
終点の小俣北町バス停。町といっても、明るく開けた谷あいのどかな山村である。傍らにタチツボスミレを早くも見る。
岩切登山口
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バス停から少し車道を歩き、指導標に従い左の林道に入る。梅園や畑の間を通り、沢に沿ったほぼ平坦な登山道となる。
15分ほどで左の斜面にカタクリの群生を見る。しかし、まだ時間が早いのか、ほとんどが花びらを閉じてしまっている。
カタクリは日が十分に上がらないと花開かないのは、昨年の高尾山で承知したつもりだったのだが、今年もまた失敗してしまった。
しかし今回は周回コースであり、最後にまたバス停に戻ってくる予定だ。時間があればもう一度来て見ようと思い、先に進むことにする。
沢沿いの登山道にはヒトリシズカ、ネコノメソウ、ユリワサビ、ヤマルリソウなど、小さい花ばかりだがけっこう咲いている。3月中旬でこれだけ花が賑わっているのも、記録的な暖かさによるものだろう。
そしてニリンソウも2,3株花をつけている。この道にはニリンソウの葉が目立つ。
案内板
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時折、目線をかすめる木々の枝には、もう芽吹きが始まっているのもある。
生満不動尊の境内の横を通る。しばらくするとあたりが開けてきて、まわりの山々の地形がわかるようになってくる。
沢の水が細くなっていくのに比例して、道の傾斜もきつくなる。ときどき、地元の小学校の生徒による、手作りの案内板を見かける。「ここより難所」「ここを越えたら休憩しよう」などと書いてありほほえましい。
つづら折りの急坂を登り切り、熊ノ分岐という鞍部に着く。尾根コースとの合流点だ。
仙人ガ岳山頂
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ここからは、それほど急ではないヤセ尾根を登って行く。木の間から雪を被った男体山、白根山などが輝いて見える。いったん山頂かと思われるような鞍部を過ぎ、もう少し行くと仙人ガ岳の山頂である。
東西に細長い山頂は、木立に囲まれ展望は大きくはないが、木の間越しに男体山、白根山や皇海山、榛名連山などが見える。標高の高いこれらの山は、どれも雪化粧している。
登山者が三々五々、登って来ては下りて行く。やはり人気の山なのだろう。
春の到来が早いといっても、まだ山頂に吹く風は冷たい。だが木の芽はどれも膨らみきって、ざわざわ、ざわざわとしている。今にも春本番の合図を一斉に送ろうとしている。
小ピークからの展望
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ツツジ
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下山は、先ほどの熊ノ分岐から、尾根コースを行く。600mの山にしては珍しい、気の抜けない長い岩尾根である。
いくつかの小ピークを越えて行くと、左(東)側が広く伐採されている所に出る。眼下に松田ダムが眺められる展望地ではあるが、山肌が伐採されての眺望なので、こういうのはあまり好きではない。
さらにアップダウンを繰り返して行く。犬帰りという10mほどの垂直な岩場に出くわす。岩場というより崖である。鎖が付いているが、高度感があり下りはかなり緊張する。登りにとれば、リズムをつけて比較的簡単に登れそうではある。(ここの鎖場は巻き道もあるので、恐い思いをしたくなければそちらを行ってもいい)
日当たりのよい岩尾根なので、至るところに今にも咲きそうなツツジを見る。すでに咲いている木もある。
さらに登り下りが続くが、あまり高度を下げている感じがしない。やがて桧林に入り、車道が見えて来るとやっと猪子峠である。ここから小俣北町バス停までは、平坦な道を20分ほど。
バス停に戻り、カタクリ自生地にもう一度行ってみる。しめしめ、今度はちゃんと花開いている。
さっき来た時には無かった、「カタクリ自生地」の立て札が立っている。写真を数枚撮ってバス停に戻る。
カタクリ
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カタクリ
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標高は低いが、根張りの大きい、スケールを感じさせる山であった。花や雑木林も豊かで、季節を変えてまた訪れたい。
今度はお隣りの鳴神山を歩いてみようと思う。
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