~展望の尾根と山のいで湯~ さんぼんやりだけ(1917m)ときたおんせん 2007年6月27日(水) 曇り時々晴れ 8:10黒磯駅-[東野交通バス]-9:10山麓駅9:25-[ロープウェイ]-9:30山頂駅-9:55茶臼岳東肩-10:00茶臼岳10:05-10:35峰の茶屋跡-11:05朝日岳分岐11:10-11:20熊見曽根分岐-11:40清水平-12:12三本槍岳12:35-12:55中ノ大倉尾根-13:12赤面山分岐-13:47スキー場分岐-14:12林道横断-14:35北温泉15:55-16:10旭・北湯温泉バス停16:23-[バス]-17:13黒磯駅 歩行時間:4時間30分 |
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那須の山稜を歩くのは、2年前の南月山以来だ。前2回と同じく、今度も梅雨の時期となった。 黒磯駅ではぼんやりした青空。西のほうには山は全く見えない。バスで那須高原に入っても、那須連山のたおやかな裾野は目の前にない。ロープウェイ山麓駅に着いたときは、周囲はガスに包まれていた。 もっとも、2年前も同じ様な感じで、稜線上はそこそこ視界が利いていた。今回もロープウェイ山頂駅に着くとガスも幾分少なくなって、頭上に青空も見えるくらいだった。
18分間隔で運行するロープウェイを下り、さっそく火山れきの斜面を歩き出す。登山姿の人以外に観光客が30名ほどいて、平日であってもここ那須高原は人気が高い。 今日歩くコースは、茶臼岳から三本槍岳まで稜線を辿り、その後展望のよい中ノ大倉尾根を歩き、那須でも特に名高い「北温泉」に下る。 ロープウェイ利用で楽チン登山、しかも展望を楽しめ温泉に下れるという、那須岳の日帰りコースとしては内容の濃いものである。シャクナゲの花期が一番よさそうなのだが、今回は少し遅かったようだ。 南月山への道を分け、茶臼岳への急登となる。ガレと砂地の歩きにくい登りが続く。軽装の観光客の人も一生懸命登っているが、ゼイゼイと息絶え絶えの人もいて、見ているとつらい。 鳥居を見て、少し先が茶臼岳頂上(1915m)だ。4年ぶりである。好天の前回に比べ、今日は青空は少なくガスがあたりを支配する。
火口縁を回るコースを行く。左下にモウモウと煙を上げる噴気孔が見下ろせる。臭いも強く、立ち止まらずすぐに通過したほうがよさそうだ。 朝日岳を正面に見据えながら、展望のいい下りとなる。雲厚く関東平野の眺めが得られないのが惜しい。峰の茶屋跡からは緩やかな登り。火山地帯を脱すると花も現れ始め、イワカガミやウラジロヨウラクなどを見る。 今日は那須の山稜名物の強い風がない。そのため雲の流れも遅いので、すぐに天候が回復することは期待できない。朝日岳の肩まではガレ場の登りが続く。人の大勢見える朝日岳頂上(1896m)はパスする。 さらに北上し熊見曽根分岐、1900mピークと過ぎる。火山の茶臼岳、岩壁の荒々しい朝日岳、そして高原とたおやかな稜線の先にある三本槍岳と、那須の主峰三座はそれぞれが違った表情を見せている。 少しの時間を歩くだけでこの3種類をすべて見れてしまうのだから、那須の山登りはお得である。 人の手が入りすぎているのが気になるが、仕方のないことだ。ロープウェイで1700mまで簡単に上がれて、日帰りでこの森林限界の景観を楽しめてしまうのだから、それはそれでよしとしなければならない。 三本槍岳へは、ハイマツやシャクナゲ、低潅木の海を泳ぐように進む。道は掘り窪められ、ちょっと険しい道である。 清水平付近にはバイカオウレンが多い。中ノ大倉尾根への分岐を見送って緩い登りとなる。やがて小広い三本槍岳頂上(1917m)に着く。 ずいぶんガスが出てきて、周囲の眺めがみるみる白いベールに包まれていく。天気のいいはずの福島県側の山稜も見たかったが、今日は無理のようだ。小憩ののち、先の分岐まで戻る。 中ノ大倉尾根は緩々の下りで始まり、しばらくは周囲の眺めがきいて気持ちがいい。右手に朝日岳、その手前に1本の尾根が走っている。防火帯のようなものが切られているが登山路はなさそうだ。 緩い下りは砂利道で、滑り止めもかねているのであろうか、目の粗い金網で覆われている。ちょっとスピードを出して下ろうとすると金網に靴が引っかかってしまいそうでこわい。 標高1600mのあたりまでハイマツが見られるくらいだったが、のちにブナ林に入ったり出たりするようになる。ツマトリソウ、マイヅルソウといった白い花が目立つ。ぬかるみと水溜りが目立つタフな登山道は、東北の山らしい。中ノ大倉尾根は栃木・福島県境のちょっと南を走っている。
やがて右手に分岐があり、北温泉へは右だ。ここには中ノ大倉山との手書きの標識があり、直進する方向は「スキー場へ0.3km」とある。 右折するとダケカンバが多い林になる。今まで以上になだらかで遊歩道のようだ。再びスキー場への細道が分岐する。左のピークを越えた先に、どうやらスキーゲレンデがあるようである。 林道を横断し、暗い樹林帯を下る。北温泉への標識の先はジグザグの急降下。ここへ来て初めて急坂を下るようになった。下のほうに沢の音、やがて北温泉と見られる屋根が見えてくるが、急な下りはまだまだ続く。 小さな橋で川を渡ると、北温泉である。温泉プールと言われる大きな露天風呂がある。この温泉プールは北温泉の名物なのだが、林道から丸見えである。誰も入っていないので、入るのに勇気がいる。宿泊して朝か夜、人通りのない時間にゆっくり入りたいところだ。
北温泉旅館は黒っぽい古い家屋で、なんかゾクゾクする雰囲気だ。日帰り入浴は玄関にある自動販売機で券を買う。最初に奥の露天風呂に入るが、大きな堰堤が目の前にあり風情をそがれる。天狗の大面がかけられている内湯(混浴)や寝湯はなかなかいい。硫黄の臭いはしないが鉄の成分が多そうな温泉だ。 湯治客もいるが、日帰り入浴に来る人がやはり多い。宿の人に聞くと土日はけっこう混むがそれほどでもなさそう。この山奥の温泉でじっくり命の洗濯するのもいいと思う。 あとはバス停まで下るだけ、と思っていたら、「旭・北湯入口バス停」までは1kmほどの登り道だった。駐車場からすぐのところにある踏み跡を辿っていれば「北湯入口バス停」に下りで行けたのだがうかつだった。温泉に入った後にまた汗をかくはめになってしまった。 バスに乗り少し標高を下げると雨が降ってきた。今日は梅雨の時期によくある、山の上のほうが天気がよいというパターンであった。 |