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2010年5月29日(土)
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◇ |
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練馬IC |
5:50 |
関越自動車道 |
7:50 |
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渋川伊香保IC |
◇ |
県道33号 |
8:45 |
榛名吾妻荘 |
◇ |
9:00 |
硯岩 |
9:05 |
9:30 |
掃部ヶ岳 |
9:45 |
10:00 |
西峰 |
◇ |
10:20 |
耳岩 |
◇ |
10:35 |
杖ノ神峠 |
◇ |
10:52 |
鷲ノ巣山 |
◇ |
11:30 |
杏ヶ岳 |
12:00 |
12:30 |
鷲ノ巣山 |
◇ |
12:40 |
杖ノ神峠 |
◇ |
13:20 |
榛名湖畔 |
◇ |
13:30 |
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榛名吾妻荘 |
◇ |
県道28・27号線 ゆうすげ元湯立寄り |
16:15 |
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高崎IC |
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関越自動車道 |
17:20 |
練馬IC |
◇ |
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埼玉県北部の寄居あたりで、フロントガラスをたたくような雨となった。でも北関東のほうは、雨は夕方からとの天気予報を信じることにし、さらに北上する。
伊香保温泉を過ぎ山間地を上がっていくと、雨は止んだが霧が濃くなってきた。榛名湖畔の道路に入ると真っ白で50m先が見えないほど。対向車が恐い。
無料駐車場のある国民宿舎「榛名吾妻荘」に着く。目の前にあるはずの榛名湖が、霧で見えない。
どこかの中学校だろうか、林間学校の生徒が大勢、宿舎から下りてきた。しかし登山者はあまり見当たらない。
新緑が見所の榛名山群、今が一番混む時期なのだろうけれど、この天候では登山者の出足も鈍そうだ。
掃部ヶ岳頂上
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二人連れの登山者がやってきた。「少しすれば晴れるよ、霧は今だけだ」などと話している。今まで、今日は登ろうかどうしようかと迷っていた気分が、この言葉で吹っ切れてしまった。
霧が深い上に夕方から雨が降るという天気予報なのに、そういう言葉を聞くと、本当に晴れそうな気がしてくる。
今日登る掃部ヶ岳から杏ヶ岳は、榛名湖の奥座敷とも言える位置にあり、樹林の美しい山である。ぜひともこの新緑の時期に登りたかった。
かもん・すもんと韻を踏んでいるような山名だが、語源は何であろうか。ガイドによれば、掃部という文言には特に由来と言うものはなく、全くの当て字だそうである。
宿舎のすぐ右奥にある、登山口に入っていく。樹林帯を緩く登り、すぐに稜線に出る。十字路になっていて、左が掃部ヶ岳である。正面向こう側には「ふれあいの郷遊歩道」なるものがあるようだ。
| 歩き始めから霧 |
| トウゴクミツバツツジ |
| 硯岩 |
| ヤマツツジ |
| 尾根歩き |
| 新緑のカーテン |
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いったん右に折れて、硯岩(すずりいわ)に立ち寄る。5分ほど歩くと、細長い岩棚の硯岩に出る。
岩の下は絶壁になっているが、見える眺めは真っ白。晴れていれば何が見えるのか、想像するしかない。登ってきた側の樹林帯には、ヤマツツジとトウゴクミツバツツジが咲いていた。
間もなく晴れるような霧ではないことは、山を歩き続けている人間なら感覚的にわかる。今日はどうやら、樹林と花を見ながらの山歩きになりそうだ。
分岐に戻り、掃部ヶ岳への登りに入る。右手に小屋のようなものを見る。
周囲はみずみずしいほどの新緑の回廊。緩い坂が続くが、時々丸太の木道になり、そこでは歩幅が狭くなる。土の道に戻ると元の歩幅になる。木道が出るたびに歩幅調整をしなくてはならないので、意外と歩きにくい。そう思っているうち、木道オンリーのきつい登りになってしまった。これはこれできつい。
息を弾ませて登るうち平坦な岩尾根状になる。榛名湖からのもう1本の道と合流する。標識はそちら方向を「急坂のため危険」と書いている。しかしこの道を登路にとれば最短ルートになるとのこと。
尾根がやせ、頭上がどんどん明るくなる。本来なら榛名湖が見下ろせるであろうはずの、白い眺めを左手に見ながら掃部ヶ岳頂上に到着する。ここにもトウゴクミツバツツジが咲いていた。
東側は大きく開け、晴れていたときの眺望を再び想像することになる。本当に今日の天候は惜しかった。何でも曇りや雨なのは関東地方だけだそうで、他の地方はうってつけの山日和のようだ。
掃部ヶ岳からは、杏ヶ岳への縦走路のほかに、居鞍岳を経て大戸地区に至るルートも分岐しているが、やや踏み跡は薄い。
杏ヶ岳方面に歩を進める。ひとしきりの急な下りで開けた笹の原に出るが、すぐにまた樹林帯に戻る。ミズナラやツツジの木々が多く、新緑のカーテンが登山道を覆うように張り巡らされている。
トウゴクミツバツツジの花はそれほど多くなく、むしろ今は蕾が大半であるヤマツツジが、これから稜線を彩るのかもしれない。それでもこのグリーンシャワーの登山道はなかなか素晴らしく、見ごたえがある。
小さなピークを登り下りするが、樹林帯にもぐるとどうしてもガスが出て、もやっとしてしまう。幻想的な森の風景もいいものだが、新緑のみずみずしさをはっきり見たい。
「地蔵岩」と書かれた標識を見るが、どこが地蔵岩なのかがわからない。ガスに隠されているのだろう。
西峰に登り返し、なおもきれいな新緑の森歩きが続く。耳岩へ上がる道があったので、岩の基部まで登ってみた。もちろん眺望はなく乳白色のみ。
岩を越えて、稜線伝いに行けるようにも見えたが、いったん樹林帯に戻る。
指導標のある分岐に着く。直進は「倉渕村・鉄塔管理用道路」だが、左の「杖の神峠400m」と書かれたほうに進む。すぐに杖ノ神頭という目立たないピークに出て、耳岩からの稜線道と合流する。杖ノ神峠へは一転、急な下りとなる。
| 杖ノ神峠の石仏 |
| 霧に煙る |
| ユキザサ |
| チゴユリ |
| 杏ヶ岳頂上 |
| 榛名湖 |
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車道の通る杖ノ神峠に出る。そのすぐ手前に、石仏が祠といっしょに佇んでいて、これがなかなか風情がある。
車道を横切って反対側の山に入る。こちらもミズナラなどの樹林が密で、本当に森林浴と言う言葉がぴったりくる。
杖ノ神峠と杏ヶ岳はほとんど高度差はないのだが、2つほど大きなピークを越えていくのでなかなか歩きでがある。
最初のピークの鷲ノ巣山を越えるあたりではユキザサが群生していた。白く地味な印象があるが、雪の結晶のような放射状の白い花弁が、緑の山の中のあちこちで輝いている。
祠のあるピークを越えて、少し下り、緩く登り返したところが杏ヶ岳頂上だ。祠が2つ、草むらの中にもうひとつある。そして掃部ヶ岳同様、ここにも三角点があった。
樹林の中はどちらかと言うとひんやりしていたが、山頂は暖かい。太陽が出ていないのに不思議である。冷たい霧に巻かれていないからかもしれない。
ここも東側(と思われる)の一部が開けている。誰も来ない静かな山頂。掃部ヶ岳から続く稜線は、標高からすれば榛名山塊の中心と言えるのだが、前回登った水沢山や、湖畔の榛名富士などに比べると「静かなる山」という印象がある。
特にこの杏ヶ岳は、ここから先に一般的な登山道がない、(バリエーションルートのみ)言わば「行き止まりの山」なのでよけい静かだ。展望は相変わらず真っ白だが、誰も来そうにない山頂でゆっくりする。
杖ノ神峠に戻る途中、少しまわりが明るくなるのを感じた。晴れてくれるかな、と一瞬思ったがすぐに元の空模様へ。 杖ノ神峠からは車道歩きになってしまうのだが、試しに石仏の横に通っている細い踏み跡をたどっていくことにした。山道が続いているのなら、なるだけ使って下りたいから。しかし5分ほどしたら結局車道に出てしまった。
車道は未舗装と完全舗装が半々くらいで、あまり高度を下げず、緩く登り返すところもある。峠から40分ほどで左の小道に入ると、山荘脇を通って「湖畔の宿記念公園」の前に出る。すぐ先の榛名湖畔に下りると、朝は見えなかった湖面が霧の中から姿を現していた。
榛名湖は標高1084mと高所にあるカルデラ湖である。榛名山塊は古い火山で、火口丘の榛名富士、寄生火山の水沢山や二ツ岳で成り立ち、掃部ヶ岳はその外輪山ということになる。
釣りのボートがいくつか出ているが、周囲は閑散として、食堂やみやげ物屋さんはどこも暇そうだ。やはり天気のせいなのだろうか。新緑の美しい榛名湖はアクセスもいいし、もっと賑わってもいいだろう。
朝車で通った道を歩いて、榛名吾妻荘の駐車場に戻る。
湖畔を少し運転して、ゆうすげ元湯で立ち寄り入浴していく。元湯付近は霧が薄く、榛名湖と対岸の山裾まで見渡せた。このあたりは行楽客でけっこう賑わっていた。
帰りは伊香保温泉経由ではなく、箕郷・駒寄方面の車道を下り、高崎ICから高速に入る道を走った。遠回りになるが、カーナビがその道を選んでしまっていたためだ。
でも温泉地とは違って、こちらは静かな山里を走る道。田畑が広がった場所で車を止めて外に出てみると、田舎道の臭いがした。観光地榛名の山麓にはこんな場所があるのか。
富士五湖から下部温泉側に下っていくときに見る情景とよく似ている。どこか懐かしい風景を眺めながら高速へ向かった。
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