~谷川の稜線はまだ遠い~
タイトル
しげくらしんどう
2004年9月4日(土)曇りのち雨

8:50上越線土樽駅-9:30蓬峠分岐-(20分休)-11:40矢場ノ頭11:55-(引き返し)-13:45土樽駅
歩行時間:4時間20分

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9月に入ったのに青春18きっぷが3回分も余ってしまった。この週末は何とかして1回でも使いたい。
天気予報は最悪だが、上越の茂倉岳を目指した。鈍行利用で片道約3300円、日帰りでも1泊でも18きっぷを使うメリットは大きい。

上越国境稜線は太平洋側と日本海側の気候の分水嶺で気象変化が激しい。この日も上州側(水上)は曇りで午後から雨の予報に対して、越後側は晴れ/曇りとなっている。どっちを信じたらよいか迷う。
この山域への登山は、両側とも予報がいいときにしたい。そのため今まで何度も計画倒れになっている。
しかし今回は、18きっぷのこともあり、少々の悪天候には目をつむった。
土樽駅
無人駅の土樽駅
茂倉新道登山口
茂倉新道登山口

土樽駅に8時40分着。沢登りの人が多い。
平日の仕事がハードで寝不足気味だ。体調がすぐれず、山麓に着いたはいいが何となく山に向かう気がしない。
しかし天気はなんとか持っている。雲が多いが谷川連峰の稜線もはっきり見え、青空そして太陽も見えている。意を決して茂倉新道の登山口に歩を進めた。

土樽駅の水道は飲用不可のようなので、水場を探しながら車道を30分ほど歩く。途中で沢の流水を見つける。
蓬(よもぎ)峠への分岐で右に折れ青い橋を渡る。関越道を上に見ながらススキの伸びる茂倉新道登山口に入る。
茂倉新道はすぐにブナ林の急登となる。時々緩まったりもするのだが、その後は決まって大きな段差のある登りが待っている。下りも苦労しそうな道だ。
ヘビを何匹か見る。人と出くわしたヘビは慌てて草むらに逃げ込む。気持ちよく日光浴しているところを起こしてしまった。

気温のわりに蒸していて、すぐに汗が吹き出す。1時間ほどで体は有酸素運動に慣れてきたが汗は止まらない。
こらえながら高度を稼いでいくと右に谷川岳、一ノ倉岳の稜線が見え出す。バックにはまだ青空が覗く。雨に降られずに避難小屋に着けるかもしれない。
桧廊下
茂倉新道の桧廊下

しかしそこからがいやに長い。桧林の尾根に移行するはずだが、ブナ林からなかなか抜けない。やはり調子が悪いので行程が長く感じられるのかもしれない。それとも、気づかぬうちに桧林を過ぎてしまったのか。

行く先に高いピークが見える。茂倉岳かと思ったが矢場ノ頭のようだ。あそこで半分の行程なのにまだあんなに高い。
汗が止まらないままようやく桧廊下に入る。木の根が張り出し歩きにくい。ヤセ尾根なので慎重を期すところもある。昨年の白毛門の登りと雰囲気が似ているが、茂倉新道のほうがタフで変化がある。

カメラの強制発光ランプが消えなくなってしまった。どうやら汗がしみて誤動作し始めたらしい。
樹林が途切れがちになり展望が広がる。土樽駅から3時間近く、ようやく矢場ノ頭(1490m)に登りつく。
矢場ノ頭から茂倉岳
矢場ノ頭から茂倉岳

谷川岳、一ノ倉岳ともに大きいが雲に隠れ気味。いつしか青空はなくなっており、茂倉岳の方向からは黒いいやな雲が近づいてくる。
それにしてもここまで長く疲れた。しかも茂倉岳(1978m)はまだあんなに高い。これ以上登る気力は失せていた。

体調だけでなく、天気もカメラも調子が悪いようだ。今日はここでUターンする。茂倉岳は前年までの栗駒山と同じく、自分にとってなかなか簡単には登らせてくれない存在になりつつある。
茂倉岳はかなり上のほうまで沢の流れがあるが、水の流れる音が矢場ノ頭からもかなり大きく聞こえる。もしかしたら上のほうは強い雨が降っているのかもしれない。

急坂を下るうち、ついに雨が降り出した。しかも半端な降りではない。いそいでザックカバーと雨具を上下着る。ヤセ尾根はたちまち泥流と化し、滑って何度も尻餅をつく。

前が見えないほどの雨の中、ようやく登山口に下り立つ。川のようになった車道を淡々と歩く。雨具さえも役に立たないほどの降りだ。

土樽駅に戻り、越後湯沢方面の上越線に乗り込む。自分のずぶ濡れの姿を見て、乗客は皆びっくりしたように窓の外を見る。どうやらこの付近以外は、雨は全く降っていなかったようだ。
土樽から離れると嘘のように雨は止む。しかし、越後湯沢駅前のイナモト旅館で入浴しているうちに雨は降り始め、やがて本降りになった。

入浴後は鈍行電車を乗り継ぎ東京に戻る。東京も時間40ミリを越す大雨で山手線などが遅れていた。


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