山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 三国山から平標山
  • -初夏の花咲く上越国境の山-
  • 浅貝-三国山-平標山-仙ノ倉山
  • 谷川連峰
  • 新潟県/群馬県
  • 三国山(1636m), 三角山(1685m), 平標山(1984m), 仙ノ倉山(2026m)
  • 2015年7月11日(土)~12日(日)
  • 1日目:8.7km,2日目:11.0km
  • 1日目:3時間55分,2日目:4時間10分
  • 1079m(浅貝-仙ノ倉山)
  • 平標山の家(テント泊
  • 雪ささの湯
  • マイカー, バス
天気1

 

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2015年7月11日(土)
練馬IC 4:40
  関越自動車道
6:10 月夜野IC
  国道17号
7:00 浅貝 7:10
7:45   三国峠登山口
8:15 三国峠 8:23
9:17 三国山 9:35
10:45 三角山 11:03
11:05 大源太山分岐
11:50 平標山の家
(テント泊)
2015年7月12日(日)
4:30   平標山の家
5:15 平標山 5:30
6:10 仙ノ倉山 6:35
7:25 平標山 7:40
8:10   平標山の家 8:50
9:33   平元新道登山口
10:00   林道ゲート
10:15 平標山登山口 10:44
  南越後観光バス
10:50 浅貝 11:10
  雪ささの湯立寄り
国道17号
13:40 月夜野IC
  関越自動車道
15:30 練馬IC

 

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梅雨の晴れ間の週末、上越国境に出かけた。今年初のテント泊である。いつも素通りばかりしている平標山の家でテン泊することにした。
今の時期、ニッコウキスゲの見頃な三国山から縦走する。


三国山下のニッコウキスゲ群落。バックは佐武流山

大きなホテルとスキーゲレンデのある浅貝から出発

浅貝から出発

三国峠登山口は、国道17号の三国トンネルの横にある

三国隧道

三国峠へ至る登山道は歩きやすい

落ち着いた道

群馬側からの道が合わさる三国峠。三国と言っても三県境ではない

三国峠

苗場山をバックに、三国山下のニッコウキスゲ群落地

苗場山をバックに

三国山下のニッコウキスゲ群落地

見事な群落

三国山への登りから、今通ってきたニッコウキスゲ群落地を見下ろす。背後に浅間山が見える

黄色い絨毯が見える

三国峠から三国山山頂へはほとんどが階段道となる

階段の登り

三国山山頂

三国山山頂

三国山から少し北に下りると、東に谷川岳、川棚ノ頭や万太郎山など、谷川連峰の主脈稜線が眺められた

谷川連峰


今回のルートは電車バス利用でも行けるのだが、日中は暑くなりそうなので、朝早い時間から歩き出せるよう、マイカーでのアプローチとした。
関越を月夜野インターで下り、三国峠をめざす。ルートは国道~三国山~平標山~国道と周回するため、三国峠の駐車場に停めてもよかったが、帰りの車道歩きを避けたいために浅貝に駐車場所を求める。ここに停めれば下山口の元橋からバスで戻って来れる。元橋の有料駐車場に止めるのもしゃくだったので好都合だ。
ガソリンスタンドの向かいの空き地に車を停めて歩き出したが、これが後でトラブルの元となった。

国道を上がっていくと、西武クリスタルという、バブル期の忘れ形見のようなキラキラした大きなホテルが建っていた。路線バスはここまで入るようなので、この付近に車を停めてもよさそうだ。
浅貝からおよそ30分強の車道歩きで、三国峠登山口の駐車場に着く。高速が出来る前の、上越国境越えの要所だった三国トンネルの前である。駐車場はすでにほぼ満車状態で、ニッコウキスゲの時期の三国山の人気の高さを示していた。
登山口からはすぐに、豊かな広葉樹林の中となる。朝からのギラギラした日射しが避けられてホッとする。峠道らしく、穏やかで歩きやすい傾斜が続く。何箇所か水場があって、昔の旅人は喉を潤したことだろう。
樹林が切れたところが三国峠である。反対側には群馬県からの登路が上がってきている、左は三国山、右は稲包山へ通じる尾根道となっている。
立派な鳥居の傍らには、「三国峠を越えた人々」という石碑が置かれていて、そこには上杉謙信や与謝野晶子など、歴史上の著名人の名が連ねられていた。雰囲気も歴史的にも、ここは本当に峠らしい峠である。

三国山目指して登り始める。初めこそ低い潅木の土の道だが、ほどなく階段の登りが続くようになる。タカネニガナ、オオバギボウシ、シモツケなど初夏の花が咲き始め、ニッコウキスゲもすでにあちこちで見られる。
背後の眺めがよくなって、赤城、武尊、榛名、浅間山など群馬の山が広く見渡せた。以前秋に登ったときはガスの中でよくわからなかったが、やはりここ上越国境の南端の山は、さすが群馬県の山の展望台である。
斜度が緩むとベンチがあり、そこはニッコウキスゲの大群落地になっていた。一面に黄色い花が咲いている。来る前はこれほどの群落とは思わなかったので、最初に目にしたときはびっくりした。
ニッコウキスゲは朝花を開いて夕方にしぼむ。ちょっと時間が早すぎたので、まだ完全に開いていないのもあるが、数が多いので十分である。苗場山や佐武流山をバックにいい写真が撮れる。ただ、山肌を削られたスキーゲレンデも一部写真に入り込んでしまう。キスゲ群落地はこの先にもまだあった。

三国山を巻く道を分けてガレ場の急登を越え、分岐に入ると三国山の山頂である。山頂の眺めはそれほどでもないが、ゆっくり腰を下ろして休憩する。何しろ久しぶりの重たい荷物を背負っての登りだった。
ニッコウキスゲを第一目的で登ってきて、登頂後にすぐ引き返してしまう人も多い。でもあの群落地を見るだけでも、十分満足のいく山行となるであろう。

三国山からは北へ。急坂を下ると前方が開け、今度は群馬北部の山、すなわち谷川連峰から上越国境の山が見渡せた。平標~仙ノ倉の稜線や万太郎山、谷川岳。天神平の建物も見えた。
今日ゴールの平標山の家の標高は1600m台で三国山とあまり変わらないが、細かなアップダウンがあってなかなかタフな尾根道である。

三角山へ、緑濃い山稜を行く。右は大源太山、左奥に平標山が覗く

緑濃い山稜

眺めよい尾根からは、平標山と仙ノ倉山が大きく望まれる

目指す山が

クルマユリ

クルマユリ

大源太山を越えると、大きな平標山の下に平標山の家の赤い屋根が小さく見えてきた

ようやく赤い屋根

平標山の家は眺めのよい台地に建っている。素泊まりも2000円で安い

平標山の家

山の家のすぐ上にテント設営地がある。平標山と仙ノ倉山を結ぶ優美な稜線が正面に見える

テント設営地


10月に歩いた時は紅葉がきれいだったが、やはり好天の下でここは歩きたい。道ははっきりしているがこの時期にこの高度ではやはりやや草深く、両脇にアザミがたくさん咲いているので、腕がチクチクする。
左の新潟側は樹林帯、右の群馬側は大きく開けている。体も右半分が日を浴びて熱くなっている。ガレたところにはオオバギボウシやクルマユリまで咲いていた。

正面の三角形の山目指し、はっきりした登りとなる。草いきれの尾根道の急登はなかなかの苦行で、初夏にしては高すぎる気温にバテ気味である。道が新潟側の斜面に入ると涼しい風が届いてホッとするのだが、群馬側に出ると強い日差しを受け涼しさがリセットされる、その繰り返しとなる。
たどりついた三角山の山頂は狭いが眺めはいい。同じく三国山から縦走してきたグループが、大源太山まで行くか迷っている。距離的には日帰りコースとしてちょうどいいが、皆さん同じくかなりお疲れのの様子。三角山から見る大源太山は思いのほか大きく高く堂々としていて、あそこまで行くにはもう一汗かきそうである。

自分はさらに北進。ニッコウキスゲが再び現れると大源太山の分岐に出会うが、大源太山へは行かずそのまま直進する。このあたりは新潟側の斜面を歩くので、ブナ林もあって気持ちが落ち着く。
道は再び眺めのいい稜線上となり、正面の平標山、仙ノ倉山がいつの間にか大きくなっていた。二つの山を結ぶ優美な稜線が印象的である。平標山の家の赤い屋根もはっきりと見えてきた。
稜線に出たり樹林に入ったりを何度か繰り返していくうちに、その平標山の家に到着する。暑かったが歩いていて楽しい尾根道だった。
テントの申込みをして、さっそく1年ぶりのテント設営をする。テン場は、小屋のすぐ上の小さな平坦だった。ここにはせいぜい5,6張りが限度で、おそらく10は張れないであろう。地面は平らで設営しやすかった。

自分の初テント泊は1999年の雲取山で、このときは友人のテントだった。自ら購入して最初に張ったのがその年の甲武信岳、以降60泊くらいの幕営を重ねた。上越国境周辺なら蓬峠がいいテン場なのだが、現在小屋が改築中で幕営地も使えないとのことだった。
自分の場合は、山小屋の混雑を避けたかったのがテントを始めたきっかけだったのだが、もうひとつ、幕営料金が安いというのも理由のひとつである。テントそのものは数万円するが、もうモトはとっているはず。また、背中を地面につけて寝る気分は、やった人でなければわからない。
ただ最近は自然保護の観点から、テント泊を歓迎しない山も増えてきた。平ヶ岳でテント泊したと言うと、「あそこ張っていいの?」とよく聞かれる。悩ましいところだ。

設営した後は少し休みたかったが、日差しが強すぎてテントの中が暑く、昼間は寝られなかった。小屋の裏側が日陰で涼しいので、そこに避難する。アルプスのテン場と違ってここは標高1600m程度、夏はこういうこともあるだろう。
ビールを飲みながら何をするでもなく、目の前に広がる山を眺めて半日を過ごした。