-越後の山に舞い降りた春の使者-
タイトル
国上寺-国上山-蛇崩-国上寺 (-樋曽山)
山域 越後
地域 新潟県
標高 国上山(312m)、樋曽山(296m)
山行日 2010年3月20日(土) 天気
沿面距離 3km(国上山)、2.8km(樋曽山)
歩行時間 2時間(国上山)、2時間(樋曽山)
標高差 166m(国上寺-国上山)、219m(間瀬峠-樋曽山)
宿泊 ホテルニューグリーン燕三条(後日泊)
温泉 だいろの湯
交通 マイカー Home
地図

行程
2010年3月20日(土)前夜発、翌日帰
自動車 練馬IC 21:05
関越自動車道
赤城高原SA泊
北陸自動車道
7:45 自動車 巻潟東IC
国道460号、県道2号他
8:35 国上寺駐車場
8:40 国上寺
8:55 あか谷見晴らし(5合目)
9:20 国上山 9:25
10:00 蛇崩
10:25 麓分岐
11:10 自動車 国上寺駐車場
国道402号
(越後七浦シーサイドライン)
国道460号
11:50 間瀬峠 11:55
13:00 291m峰
13:20 樋曽山 13:45
15:00 自動車 間瀬峠
国道460号,289号他
だいろの湯立ち寄り
17:30 ホテル 燕三条
ニューグリーン燕三条(泊)
7:45 自動車 三条燕IC
北陸自動車道
関越自動車道
12:20 練馬IC


関連リンク
燕市観光情報サイト
国上寺
だいろの湯
弥彦観光協会


Home


この冬行きたかった、越後の雪の低山は「坂戸山」だった。3月になって気温が上がり、雪が緩くなってしまったので今年はあきらめ、また来年考えよう。

季節の巡りは早く、早くも雪割草が咲く時期になった。
越後の雪割草の山といえば、角田山と弥彦山があまりにも有名だ。この二山は、2005年に地元の方の案内ですでに登っている(山行記録なし)。今回登るのも、そのすぐ近くの低い山だ。実に5年ぶりの雪割草との再会となる。
国上山は江戸時代の僧侶、良寛の過ごした国上寺(こくじょうじ)が知られていて、地元の方の手頃なハイキングの山となっている。


雪割草

東京から行くのは大変である。5年前は週末に走っていた夜行快速「ムーンライトえちご」を利用したが、ついに常時運行中止となり、季節列車となってしまった。車で行くことにするが片道5時間以上かかる。
前夜出発して赤城高原SAで車中泊し、2日がかりで出かけることにした。

なお、雪割草にはいくつかの種類があって、「オオミスミソウ」「ミスミソウ」「スハマソウ」の3つに分類されるという。
それぞれ花や葉の大きさ、それと葉の先端の尖り具合によって見分けがつくらしいが、中には微妙なものもあるらしい。

越後(新潟県)に咲く雪割草は、大方の場合オオミスミソウという種類とのことなので、ここでもその名前で紹介するのが筋かもしれないが、個人的に雪割草という名前が語感がよく、親しみやすいのであえて雪割草で統一する。

雪国を越えて
良寛さん
キクバオウレン
国上山頂上
キクザキイチゲ
日本海はすぐ近く

朝、関越トンネルをくぐりぬける。新潟側はまだ一面の雪景色だった。魚沼市あたりまで白い眺めは続く。越後三山が輝いている。
坂戸山の六日町を過ぎ、さらに昨年、未丈ヶ岳山行で下りた小出ICからさらに先を行く。標高を次第に下げ、長岡市に入ると雪はなくなった。
北陸自動車道の巻潟東ICで下りる。田園地帯の中を走り、弥彦山を回り込むように高度を上げる。ビジターセンターのある国上寺駐車場に到着。赤城高原SAから2時間半かかった。
すでに9時近くなっており、駐車場は混んでいるかと思ったら全然だった。

空は薄雲だが寒くはない。登山口のすぐ先に国上寺がある。なで肩の良寛さんの坐像が親しげだ。
登山口は本殿の右奥から始まっている。キクバオウレンが群落を作る樹林帯を過ぎてちょっとした急坂を上がると、背後に日本海の眺めが広がった。ここに来るまでまったく海を見ていなかったので、突如の海出現で今自分が新潟に来ていることを実感する。

同じくらいに眺めのよいあか谷見晴らしを過ぎ、平坦な尾根道となる。ここもキクバオウレンがたくさん。雪割草はまだ見られない。展望台への分岐があったので行ってみる。広い平野に川が流れていたが、大河津分水路というもののようだ。
そうこうしているうちに、国上山山頂に着いてしまった。芝生状の気持ちよい場所だが、まだ雪割草が見れていないので落ち着かない。ここまで来て結局見れらないと、シャレにならない。

さらに先を行く。樹林帯を緩く下っていくとようやく、鞍部に雪割草を見つけた。5年ぶりの再会は目にも鮮やかな純白の花びらと紫の花弁。 雪割草は気温が低かったり天気が悪いとつぼんでしまうというので心配したが、きれいに花開いていた。

反対側からやって来た人に聞くと、この先もけっこう咲いているという。大群落というほどのものはないが、随所に雪割草を見出すことが出来た。

雪割草
雪割草
3つの尖葉が特徴
カタクリも開花
雪割草

それにしてもこの、まるで絵の具を塗ったような鮮やかな色彩は、本当に自然のものなのかと一見疑ってしまうようなくらいである。
雪国に咲く花は、カタクリにしろイチゲにしろ、南関東・甲信に咲くものに比べて色が濃い。しかしこれが本来の自然の放つ色あいなのだ。 春先の日本海側の地方はまだ天候は不順で、花期も決して長いものではないから、短い命の間に精いっぱいの色彩を放つのだろう。

意図があって人工的に作ったような色合いと風体。自然はときに「自然」でなかったりする。雪割草はそんな自然の不思議さを体感させてくれる花のひとつだ。
自分にとって奥多摩の山は「親しみの山」、北アルプスは「憧れの山」、そして上越・谷川連峰や越後の山は「本当の山」。自然本来の息づかいを感じさせてくれる地である。

その先、あたりが開け弥彦山が大きく望める。少し岩っぽい蛇崩(じゃくずれ)を過ぎると下山道となる。ショウジョウバカマやキクザイイチゲが咲く。
麓への分岐あたりまで来ればもう、あとは国上寺へ戻るだけである。しかし雪割草はここから先も、いくつかの場所で見ることが出来た。国上寺からほどんど標高差もない場所なので、こちら側から(右回りに)歩くのなら、登ることなしに雪割草に会うことが出来る。
短いトンネルをいくつかくぐり、駐車場に戻ってきた。さっきとは違い、駐車場は満杯になっていた。

このあと車で移動し、角田山の南にある樋曽山にも登った。樋曽山は、角田山と弥彦山の間にわだかまる尾根上の1ピークにすぎないが、雪割草の多く咲く山として訪問者も多い。
一般的な登山道は開かれておらず、指導標も山頂標識もない。あくまで踏み跡を頼りに歩く山である。角田山以上に雪割草の宝庫といってもよいかもしれないが、地元の人が大切にする小さな山なので、ここで細部を紹介するのは忍びない。

弥彦山・多宝山山麓のだいろの湯に立ち寄ったあと、燕三条のビジネスホテルに泊まった。次の日にどこかに登るわけでもない。このまま車を5時間運転して帰るのは、体力的にきつかっただけである。
今日は変な姿勢で写真を撮り続けていたため、肩や背中の痛みがなかなか取れず、翌日の運転もけっこうつらかった。新潟はやはり遠い。