~奥利根の山々とSLの風景~
8:10上越線上牧駅-[車]-8:30ノルンスキー場上8:35-9:00大峰沼-9:55大峰山-10:20赤谷越峠-10:50吾妻耶山13:10-13:50ノルンスキー場上-[車]-14:15水上駅15:20-[SL奥利根号]-15:52沼田駅 歩行時間:3時間50分 |
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秋も深まった11月、群馬県みなかみ市の吾妻耶山と大峰山に登った。山頂付近の紅葉には少し遅かったが、大峰沼付近や稜線下部はまだきれいに色づいていて、上越の今年の納めの山を楽しんだ。 今回は、「Tomoの奥利根写真館」製作者である地元のtomoさんに、山を案内してもらった。tomoさんはSLのサイトも持っていて写真も精力的に撮影されている。 休日は「SL奥利根号」が上越線を走るので、山の上からSLを撮ろうということになった。
高崎や渋川あたりまでは、すがすがしい秋の空が広がっていたが、北上するにつれ黒い大きな雲が大きく上空を占め始める。新潟側は天気が悪いようだ。 後閑駅を過ぎて見えてきた吾妻耶山は、雲に日がさえぎられて真っ黒な姿だ。もしかして雨が降っているのだろうか。 上牧駅からtomoさんの軽トラで、登山口のノルンスキー場に向けて出発する。スキー場の付近まで紅葉は下りてきていた。 一般の駐車場からさらに細い林道を上がる。林道はデコボコで一般車では無理だろう。車を降りたところは、吾妻耶山がもう手の届く位置にある。吾妻耶山にはすぐ上がらず、大峰沼への緩い下り道に入る。 上の部分が欠けた鳥居がある。修復してもまた壊れてしまうらしい。何か因縁めいたものでもあるのであろうか。 上牧からの道を合わせると、標高1000mの大峰沼に着く。バンガローがいくつも建っているが、あまり使われていないという。湖畔はカエデなど赤系の紅葉が鮮やかだ。 沼を左回りで半周したあと、稜線に上がるための登りに入る。急登は長くは続かず、程なく大峰山に通ずる尾根に上がる。 尾根の反対側には、湯宿温泉に下る道が分岐している。今年4月に湯宿に泊まったとき、大峰山に登る道があることを知り、妙に親近感を覚える山となっていた。
稜線は小さなアップダウンを交え、緩やかに高度を上げていく。杉林も多いが広葉樹は紅葉の時期。しかし高度を下げると緑の葉となり、逆に上げれば落葉が目立つ。いろんな季節が入り混じった風景だ。 展望のきく小台地に出る。いったん鉄製の階段で鞍部に下り再び上る。このあたりは紅葉がきれいだ。アンテナ設備が目立ち始め、少し登って展望台に着く。展望台と言っても樹林で展望は得られない。 さらに平坦な道を少し行ったところで「山頂ですよ」とtomoさんに声をかけられる。山名柱と三角点があるが、危うく気づかず通り過ぎるところだった。 えっ、こんなところに?と不思議に思うくらい目立たない大峰山頂上だった。さっきの展望台を頂上と呼んでもいいくらいなのだが、三角点は動かせないのだろう。 NHK中継塔の建物から下りに入る。道は少しわかりづらくなる。 広葉樹はカエデのほかにはミズナラが多く、アカマツが少し。やがてカラマツが主体の森となる。カラマツは他の木に比べ紅葉(黄葉)が少し遅く、今の時期はカラマツの黄色が山を彩る主役となっている。 赤谷越(あかやごえ)峠に着く。ここまで「千葉村へ」と書かれている指導標を多く見かけるが、これは赤谷湖方面にある青少年育成センターのことで、千葉県千葉市の施設だそうだ。 吾妻耶山へはちょっとした急登となる。ここまでよくしゃべりながら歩いていたが、黙々と登るようになる。 登りきったところの稜線で、吾妻耶山の三角点のある場所をtomoさんに教えてもらった。ほとんど薮に埋もれた場所である。左手に大きな岩壁を見ながら、緩やかに登ったところが吾妻耶山の頂上だった。 頂上には3つの大きな石祠が立っている。この付近の3つの村がそれぞれ建てたものらしい。 昨年の早春に登った栃木・佐野の三床山にも同じく3村が建てた祠があったのを思い出した。三床山の祠はそれぞれが村の方向を向いているので全部バラバラの方向を向いていたのだが、ここ吾妻耶山のものはみんな同じ向きだ。形も同じで、3つの村が共同で(仲良く?)建てたように見える。 それに何と言っても大きさが段違いで、こちらの祠は人間の背丈以上ある。ここに来るまで大きな岩を随所で見てきたが、これほどの大きな造物を石から切り出すのは大変な作業だったろう。 すでに落葉した木々に囲まれているが展望はよく、利根川を挟んで奥利根の山並みが一望出来る。 赤城山やテーブルマウンテンの上州三峰山。尾瀬の笠ヶ岳も端正な三角形だ。上州武尊の手前には迦葉山の岩塔も見える。先週tomoさんはこの上に登ったそうだが、自分には絶対出来ない。
利根川沿いには、上牧・水上・湯檜曽の町並みを縫うように上越線が走っている。しばらくするとSLが煙をはきながらやって来た。しかし標高差800mから見下ろす汽車は米粒にしか見えず、写真にはならない。 下界で動いているものを山の上から眺めていると、時間が止まったような不思議な気分になる。 肝心の谷川連峰は雲の中だ。しかし吾妻耶山からはぜひこの谷川岳の雄姿を見たい。時間の余裕はあるので待つことにする。2時間以上粘った甲斐があって、雲間から姿を現した谷川岳を見ることが出来た。 吾妻耶山からの下りは距離は短い。スキーゲレンデを歩くのはつまらなそうなので山道を下る。 天候はすっかり回復していた。振り返って見た吾妻耶山はカラマツの黄葉をまとい、青空をバックに光っている。 登山口に戻り、車で水上駅まで下りる。さっき見たSLに乗って帰れそうなので指定券を買い、tomoさんとお別れをする。tomoさんの家になったリンゴと柿をおみやげにもらった。 しかしSLは子供連れの客が多く混雑し、落ち着いて乗っていられない。ベビーカーを通路に置きっぱなしにしている。せわしなくて息が詰まりそうだったので、結局沼田駅で降りてしまった。次に来る上越線に乗れば一足先に帰れるのだ。 沼田駅では、SL撮影のため先回りしていたtomoさんに再会した。 |