~イワカガミと新緑の森~
タイトル
たきごやま(1610m)、
おおやがまる(1644m)
2007年5月20日(日) 晴れ時々曇り

7:10笹子駅-7:45寂しょう苑-8:05林道-8:43ブナ大木8:50-9:25露岩ピーク10:00-10:25滝子山11:05-12:05大谷ヶ丸12:30-12:43米背負峠-13:15登山口13:20-14:05分岐-14:25天目山温泉17:15-[地域バス]-17:30甲斐大和駅
歩行時間:5時間20分

マップ
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今が花の盛りの丹沢・日光のシロヤシオ。天気もよさそうだし富士五湖周辺の山で富士山を見るのもいい。しかしそれらの誘惑を断ち切って、今日は中央線の滝子山南稜を行く。
ここも長年の課題の場所だった。5月中旬の今の時期はイワカガミが見頃になっているだろう。

中央線笹子駅に7時10分。真っ青な空、そして周囲は新緑。国道の電光掲示板の温度計は16度をさしている。
道沿いの田んぼはすでに苗が植えられた。
滝子山南稜のイワカガミ
[ 滝子山南稜のイワカガミ ]

稲村神社、桜公園と過ぎて寂しょう尾根の入口に至る。滝子山南稜を寂しょう尾根とも呼ぶ。
「しょう」はりっしんべんに尚と書く。WINDOWS-XPの漢字辞書にはこの文字は登録されているのだが、エディタに埋め込むと?マークに変わってしまう。

今気がついたが、Wikipedia(インターネットで見れる電子辞書)の滝子山に関する説明はすごい。登山ルートの解説(もちろん寂しょう尾根も含む)、イワカガミの咲くこと、そして登山する上での注意点まで詳細に書かれている。
いったい誰が書いてるのか、びっくりである。インターネットから得られる山の情報もとうとうここまで来てしまった(2011年5月記:Wikipediaによる各山岳のページも最近はかなり平準化され、当たり障りのない説明ばかりになってきたが、滝子山のページだけはいまだ他の山に比べて記述が詳細である)
他にこの付近の山を検索してみたら、大菩薩嶺はありきたりの解説しかなく、雁ヶ腹摺山や大蔵高丸などは登録がない。どうもこのへんでは滝子山だけ特別に濃い内容となっている。


国道沿いを進む

南稜から富士山が覗く

登山道入口から入ると、すぐに2軒の別荘のような家の前に出る。寂しょう苑という場所で、建物の壁にはトゥモロウランドとも書かれている。ひっそりとしているが新しい植物の苗が植えられており、時々所有者がやって来ているようだ。

登山道は緩やかな登りに入る。20分あまりで送電鉄塔、そして林道と出会う。ジグザグでない直線状の登りは、初めのうちは体がついてこなくてしんどい。じきに呼吸も整い、急登ながらも快調に高度を稼いでいく。
ほどなく自然林の気持ちよい尾根歩きが始まる。このあたりは新緑も進み、緑濃い森の中といった雰囲気。傾斜は急になったりなだらかになったりを繰り返す。

一組の夫婦と出会う。もっと多くの人が登っていると思ったがやや拍子抜けだ。大きなブナの根元で一休みする。
ヤマツツジの花が見られるのはこのあたりまでで、以後は蕾ばかりとなる。トウゴクミツバツツジはまだ早いのだろうか、ほとんど見られない。




イワカガミ

岩や大石をぬって登る場所が増えてくる。そしてロープのかかる岩場。寂しょう尾根は岩場の急傾斜が多く、過去に何件か滑落死亡事故が起きているそうだ。よってここを下りにとるのは基本的には禁止になっている。
やせ尾根で注意を要する箇所もあるが、周囲は樹林に囲まれているところが多いので、それほど困難さは感じない。それでも2つめの大きな岩場の登りは少し手ごわい。

露岩のピークに出る。後方に白い大きな雲が出てきたと思ったら、富士山だった。そして南アルプスもこの岩端から眺められる。
さらに少し進むと、待ちに待ったイワカガミの登場だ。次の小ピークはイワカガミが所狭しと咲き競っていて、期待以上の花の付きぶりだ。
奥多摩や南関東の山に咲くイワカガミは「ヒメイワカガミ」という種で、花びらの先が白っぽくなっている。
アルプスや上越に咲くコイワカガミ、東北や日本海側のオオイワカガミと比べても、花のかわいさ・可憐さでは抜きんでていると思う。そしてこのあたりの高度になると新緑も瑞々しさを放っている。


富士山と御坂の山

ヤブレガサの登山道

大谷ヶ丸から南ア

3つ目の岩場を過ぎ、滑りやすい急登をこなしていくと、じきに稜線に出た。数箇所南面が開け、富士山が大きな姿を見せている。小さなピークを2つほど越えると滝子山頂上である。

富士山の眺めが素晴らしい。登頂は3度目だが、今までよい展望は得られなかった。雪冠は初夏の日差しを受けぴかぴかに輝いている。前景の三ツ峠、鹿留山、黒岳や釈迦ヶ岳など御坂の山々も新緑の衣をまとった。5月にこれほどクリアな眺めが得られるのも珍しい。
西には南アルプスが白いラインを形作っている。しかし雲に隠されがちだ。北側には大谷ヶ丸から始まる南大菩薩の山塊。新緑のペースは遅いようで、大谷ヶ丸でさえも西斜面はまだ芽吹いたばかり。破魔射場丸から大蔵高丸にかけての稜線はまだ灰色だ。
狭い頂上に登山者は10名ほど、入れ替わり立ち替わりやって来る。

滝子山からは桧平経由、ズミ沢経由の下山コースがある。新緑でどちらもよさそうだ。しかし今日は北への縦走路に入る。
大谷ヶ丸への道はブナ、カエデの新緑に混じってカラマツやツガと思われる針葉樹もあり、文字通りの雑木林だ。林床は大きく葉を広げたヤブレガサで敷き詰められている。

長い登りを経て大谷ヶ丸に登る。西面が切り開かれ南アルプスがよく見える。さっきまでかかっていた雲もとれて赤石岳、荒川岳が白い姿を現していた。
大谷ヶ丸は以前と比べ展望が良くなった印象があるが、前2回が葉の茂る夏期の登頂だったからそう思えたのもしれない。

新緑の尾根をもう少し北上し、米背負峠で下山とする。40分ほど沢沿いの道を下り、大蔵沢林道に出る。
この下山コースが整備されたのはそう古いことではなく、エアリアマップでもまだ破線表示になっている。林道からは南アルプスが見える場所もあり、意外と楽しめる舗装路の下りである。

甲斐大和駅へ下る道(こちらはふたたび土の道に変わる)を分けてさらに林道を行く。天目に通じる道であるがすぐに天目隧道と書かれたトンネルに入る。中は真っ暗だ。
ヘッドランプを出そうかと思っているうちに反対側から光が漏れてきた。トンネルは100mほどであるが、くぐらずに上から乗っ越す踏み跡もある。

天目山温泉は久しぶり。米背負峠からの下山路が出来て、ここを利用しやすくなった。
最近は大きな造りの日帰り入浴施設がどんどん建てられ、天目山温泉の施設はずいぶん狭苦しく感じるようになった。しかしここの源泉ぬる湯は最高である。
次のバスまで2時間ほど。のんびりつかって帰京する。


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