山の写真集 > 中央線沿線 > 高尾山・山野草鑑賞会
  • -変わりゆく山の風景-
  • 高尾山口駅-小仏川-日影沢林道-城山
  • 中央線沿線
  • 東京都
  • 城山(670m)、高尾山(599m)
  • 2012年4月15日(日)
  • 13.0km
  • 8時間
  • 460m(高尾山口駅-城山直下)
  • -
  • -
  • 京王線
天気1

 

地図
2012年4月15日(日)
新宿駅 7:50
  京王線
8:46   高尾山口駅 9:00
  落合
(金比羅台手前往復)
  小仏川
  裏高尾
  日影沢キャンプ地
  城山直下
  高尾山直下
(4号路、6号路)
  高尾病院前
18:10 高尾山口駅
  京王線
新宿駅

 

高尾スミレオフは今回が7回め。京王高尾山口駅から出発して小仏川に沿った歩道を行き、裏高尾、日影沢へと進む。スミレの多いことで有名な日影沢林道を上がり、城山に登ってから高尾山まで尾根伝いに歩く。年によって若干の変更はあるが、毎年ほぼ同じコースである。
標準コースタイムでは5時間ほどなのだが、道端に咲く山野草をじっくり観察しながら歩くので、ほぼ1日かけて歩くことになる。
春の野山を歩いたと初めて実感できるのは、毎年いつもこのオフ会である。


芽吹き色の裏高尾

高尾山口駅の裏手にある氷川神社


氷川神社

駐車場は、駅からかなり離れたところでも満車近い


車があふれる

小仏川沿いの道はソメイヨシノが満開だった


満開

小仏川沿いにレンギョウの黄色が映える


レンギョウ咲く

ムラサキケマン


ムラサキケマン

ジロボウエンゴサク。ムラサキケマンと間違えやすい


ジロボウエンゴサク

今年は春の訪れが遅く、一丁平の桜も開花はまだ先と言う。例年ならスミレオフをするとき、大体桜は咲いている。
朝9時の高尾山口駅前は、年を追うごとに人が増えている感じだ。メンバーが集まり、氷川神社の満開の桜を見て出発。周囲の空き地はことごとく臨時駐車場と化していた。
道脇に斜面にイチリンソウ、ニリンソウを見る。舗装道路の割れ目からはヒメスミレも顔を出していた。芽吹き始めた山肌をバックに、京王線の電車がトンネルから出てくる。新しい家が建ち、法面の工事などが年毎に行われ、高尾の住宅街も年々様子が変わっている。

落合で左折し、金比羅台への道に入る。回りは雑木林で、低潅木は芽吹きが始まっている。シュンランが咲いていたが、これと言ってめぼしい山野草に出会えそうになかったのでUターン。落合まで引き返す。

ところどころで、青がかった派手な色合いのスミレが目に付く。外来種だそうで、昨今高尾山麓でも増え始めているようだ。繁殖力が強く、他の植物の生息域を侵食していくらしい。そのため悪魔のスミレと呼ばれていたりする。
日本古来のスミレは、形なりはつつましやかで色あいも自然である。

ヒメニラ


ヒメニラ

ヤマエンゴサク


ヤマエンゴサク

ニリンソウ


ニリンソウ

レンプクソウ


レンプクソウ

アマナ


アマナ

芽吹きから新緑へ


芽吹きから新緑へ

小仏川沿いのソメイヨシノは今が満開だった。ここから見る町並みと春色の高尾山稜が気に入っている。都心からほんの1時間くらいしか離れていない場所に、このような山河に抱かれた町並みが存在することは貴重である。
色鮮やかな桃、レンギョウの黄色も彩りを添えている。

高尾梅林の石碑を見て、川沿いにしばらく進むと広場のような場所に出る。
ここにはタカオスミレ、ニリンソウ、ヤマエンゴサクを始め多種多様の草花が咲く場所だが、訪れる人が多いせいか、ロープ柵が出来てしまった。

メンバーがレンプクソウ、ヒメニラを見つけてくれる。アマナ、ヒナスミレ、ナガバノスミレサイシン、ナツトウダイと次々と現れる。りっぱな姿のミミガタテンナンショウも多い。
ケマルバスミレの咲いているはずの場所は、圏央道の建設工事のために迂回路ができ、通過できなくなっていた。そういえば、今回初めて圏央道の下をくぐった。訪れるたびに高架橋は伸び、ついに高尾山を貫通するトンネルができあがったのである。
建設作業そのものは終わったのだが、補助的な架橋を取り外すためにまだ工事は続くようだ。

裏高尾の車道に移り、民家の庭や塀に植えられた草花を見て歩く。ミツマタ、オキナグサ、ミツバツツジ、ノジスミレなどを見る。
この会で初めて歩いた頃は、道端や家の庭に植えられた花などにいちいち立ち止まって観察することがとても奇妙に思えた。しかし最近ではこれも、1年に1回の楽しいイベントであり、そればかりか、自分たち以外にも同じ目的で裏高尾の車道を歩いている人がけっこうたくさんいることに気がついた。

シロバナナガバノスミレサイシン


シロバナナガバノスミレサイシン

ナガバノスミレサイシン


ナガバノスミレサイシン

ナツトウダイ


ナツトウダイ

圏央道の高架橋をバックに、ミツバツツジ


圏央道とミツバツツジ

ヒメスミレ


ヒメスミレ

フタバアオイ


フタバアオイ

日影バス停を過ぎ、日影沢キャンプ場への道に入っていく。キャンプ場で昼休憩してから日影沢林道を歩き出す。
ここからが今日の山登りだ。すでに午後1時を過ぎていて、かなり遅めの登り出しである。これもいつものこと。下山してくる人と多くすれ違う。
日影沢林道は舗装道路なのだが、高尾山稜の中でもとりわけ多種多様のスミレが見られるところだ。スミレ愛好家が多く歩いている。
タカオスミレ、アオイスミレ、エイザンスミレ、ナガバノスミレサイシン、コスミレ、タチツボスミレなどが現れる。

右手沢沿いの斜面に少し降りるとコチャルメルソウ、フタバアオイ、ニリンソウが群落を作っていた。フタバアオイは、以前は左側の斜面に多く見られたのだが、ここ数年、咲いている場所がだんだん下がってきており、今年になってついに道路を越えて沢側に生息場所を得たようである。
花の群生は、日当たりのよいところを求めて年々移動している。

ゲートを越して、さらに登っていく。オカスミレ、ニオイタチツボスミレ、ヒメスミレを見る。城山山頂近くなると周囲は明るく伐採され、日当たりがよくなった。そのせいかスミレの数も多くなったようだ。

城山までもう少しというところで、上から7,8名のグループが下りてきた。自分たちと同じように、ネット仲間でスミレ鑑賞会をしているとのこと。自分の知り合いもいて、楽しい出会いの場となった。

オカスミレ


オカスミレ

アカネスミレ。茎に繊毛が生えている


アカネスミレ

一丁平のソメイヨシノは五分咲き。ヤマザクラの開花はまだだった


一丁平

時間が押しているので、明るいうちに下山できるように城山は直下で巻くことにした。
巻き道に入ったすぐ先でアカネスミレを見る。オカスミレとの違いは茎に繊毛が生えていること。そうは教えられても、実際見比べてみると見分けがつきにくいもので、毎年首をひねっていた。今日見たのははっきりと毛が生えていたので、違いをしっかりと確かめることができた。
しかしこういうことに注目できるのも、年に1回、今日だけである。次の山行からは、スミレも足元に咲く花のひとつになってしまう。やはり歩くことが優先となるから。

高尾山から来る尾根に上がって一丁平。キブシ、コブシなど木の花は咲いてはいるが、例年に比べて花付きがかなり悪い。一方ソメイヨシノは木によってずいぶん花開いていた。
民間気象会社の開花予想はたしか20日となっていた。あの予想はいったい何を根拠にしていたのだろうか。

高尾山山頂も巻き、4号路を経由して下山する。朝、駅前にはあれほど多くの人がいたのに今の時間では歩く人もまばらだ。直線状の急坂では仰々しい木の階段が設置されていた。
6号路(琵琶滝コース)に入って日の傾いた中を急ぎ足で下る。病院前の車道に下りる。ケーブルカー駅に着くころにはもう薄暗くなっていた。蕎麦屋など店も閉まっている。
今日は9時間かけて3万歩歩いたことになる。疲れはしたが爽やかな疲労感だ。春を実感できた楽しい山の1日となった。