山の写真集(笹子雁ヶ腹摺山北尾根)

-ラクダのこぶを見上げながら-
タイトル
ささごがんがはらずりやま(1357m)きたおね
2009年11月21日(土) 晴れ

7:45中央線甲斐大和駅-8:10道の駅-8:27北尾根取り付き点-8:50山の神-9:12鉄塔208号基部9:20-9:45笹子雁ヶ腹摺山10:00-10:45米沢山10:55-11:17トクモリ-11:33お坊山西峰-11:42東峰12:20-12:45大鹿峠-13:10大鹿山東鞍部13:20-14:15景徳院-14:45甲斐大和駅 歩行時間:5時間50分

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大菩薩連嶺の最南端、尾根が桂川や中央線沿線に落ち込むところに、笹子雁ヶ腹摺山・米沢山・お坊山といった標高1400m前後の山が連なっている。
この山塊へは、南の笹子駅から笹子雁ヶ腹摺山への登路が伸びているが、山登りとしては自然林の密度の濃い北側のほうに魅力がある。大鹿峠あたりからこの山稜の北面を望むと、自然林が豊かな尾根が何本か伸びているのがよくわかる。
しかしその北面には、一般的な登山道はない。バリエーションなら3つほどルートがある。今回はその中で比較的登りやすいとされる、「笹子雁ヶ腹摺山北尾根」を歩いてみる。

展望台から見下ろす、中央線沿線の波打つ山稜

起点は笹子駅のひとつ先、笹子トンネルをくぐったところの甲斐大和駅。出発時間を待っている地域バスを見やって、南側の国道に出る。すぐ西側にコンビニがあるので便利だ。
国道を東方面に進む。日の降り注ぐ快晴の朝だが、天目方面に上がる車道と分かれると日陰になり寒さを感じる。電光掲示板の気温は3℃になっていた。

トンネルの手前、「道の駅甲斐大和」の裏手に伸びている細道(林道棚小屋線)に入る。すぐに未舗装となり、山の中に入っていく。

折り返して緩く登るとまず、米沢山北尾根の入り口に出会う。「鉄塔207号に至る」の標柱が立っている。さらに進んで、橋を渡った先に今度は「鉄塔208号に至る」の標柱。笹子雁ヶ腹摺山の北尾根はここが取り付き点だ。

気温3度
急登続く北尾根
鉄塔基部から
ラクダのこぶ

30mくらいの崖のようなところを這い上がるように登る。すぐに尾根に乗るが、ここから先もロープの張られたヤセ尾根の急登が続く。
標柱でわかるように、このコースは最初、送電鉄塔の巡視路を辿っていくものだ。尾根筋には、この山域の他の巡視路と同じく、プラスチックの土留め階段がずっとついていて、歩きやすい。
紅葉はほぼ終わりに近く、自然林に満ちた尾根筋は冬の姿であることも、歩きやすく感じる一因だろう。でもここは緑の季節でも、下草が邪魔するような藪道ではなさそうだ。

きつい登りが一段落すると、尾根はやや右に折れる。左に米沢山北尾根、右手にはもう1本のバリエーションルートである小路沢ノ頭北尾根がここと平行に伸びている。

しばらくすると今度は若干ジグザグを切っての急登となる。リョウブの多い尾根道を進むと、しだいに見通しはよくなり目指す稜線が上部に見えてくる。左手の米沢山方面は丸いピークがいくつも連なり、ラクダのこぶを連想させる。

緩やかになり、山の神の丸い石碑を見る。その先で眺めが大きく開けた場所が、鉄塔208号基部である。お待ちかねの広い展望だ。
南アルプス、八ヶ岳、大菩薩連嶺などがそれぞれの色彩でスカイラインを描いている。夫婦と思われる人が登ってきた。

笹子雁ヶ腹摺山の頂はもう、すぐ上に見える。しかしここからの登りもけっこうきつい。鉄塔基部で頂上付近を見上げてしまったので、よけいそう感じるのだろう。すっかり葉を落とした林の中を一歩一歩。
米沢山への縦走路を分け、緩やかに登るとようやく笹子雁ヶ腹摺山頂上に到着する。

今日初めての、大きい大きい富士山との対面。そして御坂山塊、南アルプス。青空の下、くっきりとした眺望が広がるが、少し先に進むと潅木が邪魔をする。
2004年に初登頂したときは、何て富士山の眺めのいい頂上だろうと感激したのだが、やはりここも周囲の樹林が伸びているのだ。すっきりとした富士山、南アルプスの展望は、標柱の立つ狭い箇所からしか拝めない。
初冬の時期にしてこうなのだから、それ以外の季節は南アルプスの眺めなどは難しいのではないだろうか。先々週の三頭山でも周囲の潅木の背が伸び、奥多摩湖が見えづらくなっていた。

久しぶりの富士山
冬枯れの道
遠く南アルプス
最後の紅葉

縦走路に入る。人工林の脇を急降下し、しばらくは緩やかな尾根歩きとなる。すっかり色あせた冬木立の稜線ではあるが、青空が気持ちいい。
南側に張り出した展望台に出ると、笹子雁ヶ腹摺山のずんぐりした姿が見られる。はるか下に笹子駅付近の建物がミニチュア模型のように並んでいた。

そして進む先には、お坊山のなだらかなスロープが美しく、笹子地区までその優美な裾野を伸ばしている。お坊山という名前をつけた人は、腰を下ろした袈裟姿のお坊さんをその山容にイメージしたのかもしれない。

展望台から先は、にわかに細かなアップダウンが多くなる。北尾根からこのあたりの稜線はラクダのこぶのように見えたが、実際歩いても同じ印象だ。それぞれのこぶの取り付きは、形どおりでやはり急斜面である。長い鎖のついた岩場も出てくる。雨でも降って濡れていたりすれば厄介な所だ。

長い登りを経て、米沢山(1357m)。樹林の中だが明るい頂上だ。ここを北に下っていけば、朝見た取り付き口に下れて甲斐大和駅を起点としたバリエーションルートの周回コースとなる。しかしその方向にはっきりした指導標などは見あたらなかった。
明るい尾根をさらに下って小さなこぶを超える。次の比較的大きなピークはトクモリ(1412m)と呼ばれる。
ラクダのこぶなのでピークの上は狭く、すぐ下りになる。
背後に南アルプスの眺めが広がる斜面を登りきるとお坊山西峰(1430m)に着く。今日はここを通り過ぎ、この先の東峰まで足を延ばす。
お坊山西峰と東峰はちょっと雰囲気が異なっていて、むしろトクモリと西峰が似ている。
東峰(1421m)は疎林に囲まれた平らな場所で、頂上の感じがしないが、ベンチもあって休むのにいい。駅前のコンビニで買った袋のラーメンに、卵と餅を入れてのんびり昼食にした。

東尾根からポツ、ポツと登山者がやってくる。笹子駅に下るにはこの東尾根が早く、もしくは曲沢峠経由で下っていくコースもよいがちょっと長い。今日は大鹿山の巻き道経由で景徳院に下ることにした。

お坊山北面の豊かな自然林を下る。今までと違い、尾根が広くなってホッとする。
大鹿峠からの緩やかな登り返しはきついが、晩秋の日差しを柔らかに浴び、白昼夢のような感触を覚える。樹林を透かして見上げる滝子山の頂が高く、鋭い。

大鹿山の東鞍部からは、なだらかな尾根道を下っていく。標高を下げると紅葉の残りが見られた。
初鹿野地区の建物がだんだん近くなってくる。急坂もなく1時間ほど、初鹿野の林道に下り立つ。少し歩くと武田一族終焉の地、景徳院の正門があった。

車道を歩き甲斐大和駅に戻る。周回コースながらなかなか変化のある、楽しい尾根歩きだった。


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