~冬枯れの似合う展望の山稜~
タイトル
ささごがんがはらずりやま(1358m)
2004年12月25日(土)曇りのち晴れ

7:35中央線笹子駅-8:15登山口-9:00第一ピーク-9:12・1188m峰-9:40笹子雁ガ腹摺山10:15-11:05米沢山11:10-11:35・1412m峰-11:45お坊山12:25-12:30東峰分岐-12:50大鹿峠-13:05大鹿山13:15-13:30曲沢峠-14:05林道-14:25茶湯山荘前(下ノ平バス停)14:40-[大和村営バス]-14:50天目山温泉17:08-17:20甲斐大和駅
歩行時間:5時間20分

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暮れも押し詰まり寒さもいよいよ本番だ。しかしクリスマスの日の早朝、山手線の車内は、夜明かしの若者の熱気でムンムンとしている。
だいたい土曜日や日曜日の山手線外回り1番・2番電車(五反田をそれぞれ4時31分、4時47分発)は、渋谷駅から先は通勤ラッシュ並みの混雑になる。しかも酒・煙草・香水の臭いがすごい。この時間に初めて乗るとカルチャーショックを受けるであろう。
6時頃になると逆に空き始め、ハイカーの姿も多くなる。
笹子隧道記念碑
笹子隧道記念碑(笹子駅前)

中央線沿線の山は駅から直接歩き出せる山が多いので、この朝早い電車に乗れるとかなり早い時間から行動できる。五反田5時19分発、新宿で中央線に乗りさらに八王子で乗り換える。笹子駅には7時33分着。
駅前の笹子隧道記念碑を見て、国道を西に歩き出す。ダンプなど通行量は多いが、この道は細いながらも歩行者用のゾーンがあるのでやや安心である。先々週の山伏峠(御正体山麓)の車道と比べれば全然ましだ。

40分ほど歩き中の橋を渡ると、左手に墓地が見えて来る。登山口は国道と墓地の間にある。
笹子雁ガ腹摺山を含む大菩薩連嶺の稜線は国道の北側にあるので、西方を向いてて左側に登山口があるのが不思議に感じる。国道はこの後笹子トンネルに入るが、今日のコースはその笹子トンネルの上を乗っ越すので、そのような位置関係になるのである。

杉林の中につけられた登山道を登り、ほどなく鉄塔基部の立つ小ピーク。やがて稜線に上がる。しばらくは片側が雑木、片側が植林の尾根歩きとなる。
急坂が続き、2つ・3つと小ピークを越えていく。上空は雲が多く、振り返って見える御坂の稜線の上には青空が全くない。こりゃあ富士山の眺めはだめかな、今年は何となく富士山運が悪い。

なだらかな道になると右に、お坊山の大きな山体が見え出す。堂々としたいでたちで思わず足を止めて見入る。
この一帯では、お坊山は滝子山と並んで存在感のある山である。

笹子雁ガ腹摺山頂上
笹子雁ガ腹摺山頂上
米沢山、お坊山の稜線
米沢山、お坊山の稜線

笹子雁ガ腹摺山も行く手に大きくのしかかってくる。直下はかなり厳しい急登。しかし展望がどんどん開け、苦しいが爽快な登りだ。
大きなアンテナを見て、すぐに笹子雁ガ腹摺山頂上に登りつく。時間はまだ9時台、アプローチのいい山の代表格だろう。

やや樹林があり360度とまではいかないが、全方位開けた、思った以上に展望のよい頂だ。
北に大菩薩山塊の山並み、西に南アルプスと八ヶ岳。こちらはやや霞んでいる。御坂の山は三ツ峠山と黒岳、釈迦ガ岳がやはり目立つ存在。三者三様の山容で面白い。その後ろにそびえているはずの富士山は、やはり雲の後ろだった。
展望だけでなく山頂の雰囲気もいい。ゆっくり腰を下ろして憩うことのできる場所だ。

お坊山への縦走路に入る。大きく下っていくつものピークを越えていく。平坦道もあるがヤセ尾根も多く、米沢山直下になると鎖のついた岩場の急登もある。
しかし難路というほどの場所もなく、尾根歩きを楽しめる範囲だ。
さらにこの付近はずっと自然林豊かな稜線で、新緑・紅葉時もまた素晴らしいだろう。今までこの場所を訪れていなかったのが惜しく思えてくる。

米沢山(1357m)からは笹子雁ガ腹摺山の形がいい。
日がかげる時間もあり寒々とした歩きが続いていたが、お坊山に近づくにつれてどんどん雲も取れ、気持ちのよい歩きとなってくる。富士山も姿を現し始めた。1412mピークを越え、展望のよい急登ののちお坊山(1430m)に着く。
お坊山からの眺め
お坊山からの眺め
豊かな自然林
豊かな自然林

ここも樹林に囲まれているが西側が開けている。南アルプスや甲府盆地がくっきりと望めるようになってきた。
反対側から3名のグループが登って来た。前夜湯ノ沢峠避難小屋に宿泊したそうだ。私が今日初めて会った人だと言う。自分が今日会ったのもこの3人だけだった。
笹子雁ガ腹摺山、米沢山、お坊山いずれも気持ちよくのんびり過ごせる山頂だ。しかしクリスマスの日なら、いくらハイカーでも山より家でのんびり過ごす方を選ぶのが普通なのだろう。

お坊山から東へ2分ほどで、正面に滝子山が大きく望める展望の地。左の急斜面が大鹿峠への道だが、右の東峰へ向かうほうにも「大鹿峠 右回り」と書かれている。
東峰からさらに東尾根を下ることも考えていたが、今日のところは大鹿峠への道をとることにする。東尾根はまだいずれ登りで歩きたい。

大鹿峠で景徳院への道を分け大鹿山(1236m)の頂上を踏む。平坦な道を少し行くと、再び景徳院への分岐。ここは2年前、大蔵高丸を登ったときに使った道だ。
今日はもう少し歩きたいのでさらに稜線を進む。お坊山からはずっと自然林いっぱいの道なのでうれしくなる。

曲沢峠で下りの道に入ることとする。しかしこの道は「荒れている」との看板が立てられている。
ジグザグに下って行き曲沢沿いの道となると、たしかに荒れてきた。踏み跡が薄くわかりづらい。沢の水量も多い。
しかし沢の道はそう長くなく、堰堤を回り込みながら下るうちに林道に出る。曲沢峠から30分余りだった。

林道を下り車道に出る。正面に茶湯山荘、村営バス「下の平」停留所がある。
天目山温泉へ向かうバスは時刻表より5分も早くやって来た。どうやらこの村営バスを利用するときは、時刻表より10分くらい余裕を持ってないと乗り逃がす恐れがありそうだ。

天目山温泉はガラガラで、受付の人たちも手持ち無沙汰のようだ。今日は超のんびりと源泉ぬる湯に入れる。いつもこのくらいの人口密度だといいのにと思う。
大菩薩連嶺で唯一登り残していた山は、お気に入りのひとつとなった。今日のコースはぜひ、季節を変えて再訪したい。


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