~夏の終わりを告げるお花畑~
タイトル
おおくらたかまる(1770m)
2008年9月6日(土) 晴れ後曇り
初台IC-[首都高速、中央自動車道]-勝沼IC-[国道27号、県道218号、焼山沢林道]-9:15焼山沢登山口-9:55湯ノ沢峠-10:30大蔵高丸10:50-11:15破魔射場丸11:25-11:55大蔵高丸12:00-12:20湯ノ沢峠-13:05焼山沢登山口-[焼山沢林道、天目山温泉立ち寄り]-[県道218号、国道27号]-勝沼IC-[中央自動車道]-高井戸IC
歩行時間:3時間15分

マップ
Home


3週間ぶりの山となった。まさか8月が朝日連峰で終わるとは思っていなかったが、こう悪天候が続くとどうしようもない。
最近感じるのは、朝方は天気が悪く、午後から晴れる日が多いということ。つまり朝晩の湿度が高い。これも温暖化の影響なのか。早出早降りが鉄則の山登りには都合の悪い夏が、ここ数年続いている。

もともとは蓼科山に登るつもりで車で出かけたが、八王子IC付近で1時間の渋滞に巻き込まれる。長野県の真ん中まで行くには時間がなくなってしまったので、勝沼で高速を下りて南大菩薩周辺の山に変更する。
大蔵高丸は車で天目林道を上がれれば暑い車道歩きが省けて、行程に余裕が出来る。今日も午後に雷雨の予想が出ているため、短い距離の往復にする。


ススキ伸びる稜線から大蔵高丸を望む

焼山沢林道終点はすでに標高1400m近い。駐車スペースは狭く、少し傾斜していて停めにくい。手前の路肩に車を停めて出発する。
なおこの先の湯ノ沢峠にも駐車場があるが、車が入れるかわからなかったためここから歩く。

久しぶりの歩きということもあり、最初のうちは登山道を歩くことへのしっくり感がない。
やはり現代の社会生活に慣れた人間には元来、山道を歩くようなタフな足は備わってない。山を歩く体力は現地に何度も足を運んで培われるものだと思う。

焼山沢沿いの登山道は涼しくてきつい登りもない。高度感にさらされるところもなく、気に入っているコースだ。初夏にはクリンソウも見たことがある。
何度か徒渉があるが石伝いに渡れ、時たまかかる水しぶきは気持ちいい。トリカブトやツリフネソウ、夏の終わりを告げる花があちこちに咲く。

焼山沢
大蔵高丸から
タムラソウ咲く稜線
タチフウロ
シモツケソウ

やはり湯ノ沢峠まで車で上がってしまう人が多いようで、このコースはそれほど歩かれていないようだ。踏み跡はしっかりしているが倒木が多く、何箇所かで進退に窮する。
沢を離れて5分ほど登ると湯ノ沢峠避難小屋の前に出る。すぐ先の駐車場には車はなかった。やはり通行止めなのだろうか。

ここには新しいトイレが設置され、避難小屋も利用しやすくなった。もっとも日帰り圏内の山ゆえ、ここに泊る人はあまりいないだろう。
少し歩くと湯ノ沢峠だ。十字路になっており左は黒岳・大菩薩嶺への登り。正面は真木側に下る道だが草深い。右手の比較的はっきりした道に入り、大蔵高丸を目指す。

草原状の台地に上がるとすぐに高山植物が見られるようになる。シオガマギク、タムラソウ、ヤマハハコ。カイフウロやオミナエシ、ウメバチソウも多い。葉を伸ばし白い花を付けているのはオトコエシだろうか。
また少ないがシモツケソウ、コウリンカ、フジアザミ、そしてマツムシソウもある。
6年前に初めてここを歩いたとき、マツムシソウの大群落に驚いた。今日も、そう多くはないがあちこちで咲いていて一安心だ。

オトコエシ
ハクサンフウロ
ハナイカリ
タムラソウ
マツムシソウ

大菩薩嶺は今年はマツムシソウが全く見られないらしい。鹿の食害とも言われるが真の原因はよくわからない。性急な結論付けは避けたいものだ。
ここ大蔵高丸のお花畑も、6年前に比べれば随分ボリュームが小さくなってしまった感があるが、これほど咲くのはやはり南関東・甲信越の山の中では抜きん出ている。

行き交う人々はほとんどが花目当てのようで、カメラや三脚を担いだ人、図鑑を持ち歩く人、大きなノートにメモを取っている人などを見る。湯ノ沢峠から先の登山道は全てロープで仕切られてしまった。

目の前に見える大蔵高丸はたおやかなドーム状。やがてブナやナラなどが目立つ樹林帯となる。大蔵高丸を西側から緩やかに巻いて登る道だ。以前は東側から直登する登山道があり、その傾斜がきつく苦しい思いをしたが、今はこの道はロープで通れないようになった。

再びあたりが明るくなり、大蔵高丸頂上に到着。南側に破魔射場(ハマイバ)丸、大谷ヶ丸への稜線や御坂の山を遠望する。しかし入道雲がもくもくと立ち上がっていて富士山の眺めはない。
西側に少し下ってみるとやはり眺めのいい場所があり、ここにはハナイカリが咲いていた。

空模様が少し心配だが、破魔射場丸の往復くらいは大丈夫だろう。稜線をさらに南下する。大蔵高丸から見るとここより標高が高いようにも見えるのだが、破魔射場丸のほうが少し低い。
今一番花を咲かせているのはタムラソウで、ハコネギクなどキク系の花も多くなる。オミナエシの群落、マツムシソウも増える。過ぎ行く夏を惜しむように蝶も花から花へ飛び交う。
マルバダケブキに止まっている、ひときわ色の美しいのはアサギマダラだろう。カメラを向けるが露出不足でシャッターが降りない。

ほとんどアップダウンのないまま樹林帯の破魔射場丸頂上(1752m)へ。三等三角点がある。
少し先に行ったところに眺めのいい斜面があるはず。数分ほど歩き、いくぶん開けた場所に出る。以前より樹林が伸びているのか、期待したほどの眺めはない。しかし風が通り気持ちいい。

大きな黒い雲が頭上にやってきた。あまりゆっくりしていられない。来た道を戻り再び大蔵高丸、さらに樹林を下る途中で悠歩さん夫妻に出会った。山の中では高尾山以来だ。今年は山中でよく知り合いに会う。
しかしいつも人の顔など見ないで歩いているので、今回もあやうく気づかずに通り過ぎるところを悠歩さんに声をかけてもらった。もしかしたら、普段もっとたくさんの知っている人に会ってるのかもしれない。

湯ノ沢峠から、再び来た道を下る。最後になってついにポツポツ、雨が落ちてきた。しかし西の方はまだ青空で、たいして降られずに車に戻れた。
3時間ほどの歩行だったが、久しぶりだったこともあり疲れた。気持ちのよい疲れだ。天目山温泉で汗を流し帰路に着くが、帰りの中央高速も渋滞で1時間ほど余計にかかってしまった。


Home