-ゲレンデの先にある展望の頂-
タイトル
ゴンドラ山頂駅-入笠湿原-入笠山
山域中央線沿線
地域長野県
標高入笠山(1955m)
山行日2011年3月5日(土)天気1
沿面距離4.2km
歩行時間2時間
標高差191m(ゴンドラ山頂駅~入笠山)
宿泊-
温泉道の駅信州蔦木宿・つたの湯
交通車、ゴンドラHome



2011年3月5日(土)

目黒IC6:15
 首都高速、中央自動車道
諏訪南IC9:05
 国道20号他
9:20富士見パノラマリゾート
山麓駅
9:45
 ゴンドラリフト
10:00山頂駅(登山口)10:15
10:30入笠湿原
10:55入笠山登り口
11:25入笠山12:25
12:40入笠山登り口13:45
14:00入笠湿原
14:20山頂駅(登山口)14:35
 ゴンドラリフト
14:50山麓駅15:00
 国道20号他
つたの湯立寄り
17:10小淵沢IC
 中央自動車道、首都高速
19:10芝公園IC


関連リンク
富士見パノラマリゾート
道の駅・信州蔦木宿(つたの湯)


Home



長野県富士見町の入笠山は、高原状の山頂付近で高山植物が多く見られるという。登るなら初夏から夏がいいと思うのだが、登山としては行程が短く、いつでも登れると思って後回しになっていた。

今回、大学時代の友人との間で、入笠山に登る話が持ち上がった。長野県中部の山は、南アルプスや八ヶ岳以外はほとんど登っておらず、いわゆる空白地帯である。入笠山のほか、霧ヶ峰・守屋山・霧訪山などがよく知られている。中央アルプスもいまだに未踏だ。
このサイトでは登った山を20ほどの山域でグループ分けしているのだが、入笠山はどのグループに入れたらいいのか悩ましい。グループは極力増やしたくないので、とりあえず中央線沿線に分類しておく。

入笠山は標高が1900m以上あり、今の時期は雪山でそれなりの装備が必要になるだろう。だからかえって、ひとつの山として登るには、今がいいのかもしれない。軽アイゼンと輪カンを携えて、友人の車で出発した。総勢5名、野郎ばかりのグループである。


入笠山山頂から八ヶ岳を望む

今日はまれに見る快晴の空である。車の中やドライブインから眺める富士山・八ヶ岳・南アルプス、いずれも一点の雲もまとわることなく、青空の下、くっきりとその白い頂を見せている。

諏訪南ICで高速を下り、10分程度で富士見パノラマリゾート山麓駅に着く。アクセスのいいゲレンデだ。入笠山の登山口は、このスキーゲレンデの上部にあり、ここからゴンドラで上がることになる。
無雪期ならば、ここより標高の高い登山口まで車で行けるのだが、冬はここ山麓駅の駐車場が出発点である。ここからすでに八ヶ岳の眺めがすばらしい。

登山口はゴンドラの脇
入笠山を仰ぐ
入笠湿原
四阿山方面
北アルプスと諏訪湖
甲斐駒が大きい

ゲレンデはスキーやスノーボードでけっこう賑わっている。人工雪を踏んでゴンドラ駅の建物まで歩く。メンバーのうち2人は、スノーシューをレンタルする。
ゴンドラで山頂駅に上がる。目の前のゲレンデは、八ヶ岳を正面に、とても気持ちよさそうな場所である。帰りはスキーを借りてここから滑り降りてもいいと思った。だがゴンドラの往復券を買っていたのでそれはもったいない。

スキーヤーの間をぬって入笠山登山口に着く。登山のグループも何組か見かける。
登山口からは、アカノラ山というピークを巻くように樹林の中を緩く登っていくが、林道伝いに行くこともできる。樹林のほうを行く。スキー場の賑わいを離れ、いつもの山の中の静けさとなった。

雪はせいぜい20~30cmといった程度だ。カラマツ林が切れたところで、前方に北アルプスの白馬岳や鹿島槍が見られた。 いったん林道を横断し、広々とした入笠湿原に下りる。
見上げると、入笠山と思われるピークの上に、飛行機雲がいつまでもぼやけることなく、青空に一画を施している。雪の白、樹林の黒、空の青。視界に入るのはこの3つの色しかない。夏なら緑の草原や高山植物が様々な色彩を放つ場所も、今はシンプルである。これはこれで凛として美しく、むしろこの姿のほうが自然に近いとも思える。

遊歩道や林道を歩き、マナスル山荘の前まで来る。林道の終点にはバス停が立っている。この路線バスはシーズンの土日だけ走っているようだが、昨年は経営難のため運行しなかったらしい。
さて、ここから入笠山山頂まで急登となる。高度を上げると、若干積雪が増す。左手が大きく開けて八ヶ岳が見られた。

目の下の斜面はゲレンデのようになっていて(リフトとかはない)、スノーシューやスキーに昂じている人がいた。樹林が少なくなり、一見森林限界に抜け出たような雰囲気となる。振り返るとパノラマの眺めである。
メンバーの中にはここまでスノーシューで登ってきた人もいるが、急斜面になるとスノーシューで上がるのはきつくなるようで、途中で外すこととなった。小さくジグザグを切りながら、間もなくであろう山頂をひたすら目指す。うっすら汗もかいてきた。

好展望の頂
富士山も
八ヶ岳を眺めながら
手作りのかんじき
サルオガセ

入笠山山頂に到着。樹林のない、だた雪で真っ白の頂であり、360度の大パノラマである。前回の天狗岳といい勝負かもしれない。
八ヶ岳は、南八ツと北八ツが一直線になっている。山稜としては小さい印象のある八ヶ岳も、南・北とつなげて見るとけっこう長い。またいつも東側から見ているので、こちら側からの眺めは新鮮である。麓には中央自動車道や中央線、諏訪市の町並みが見下ろせる。
そして南アルプスは、何といっても甲斐駒が主役。こちらもいつも見ている側の裏から眺めていることになるが、甲斐駒はどこから見ても甲斐駒である。中央アルプス、御嶽山、北アルプスも余すことなく全て見える。天狗岳では見れない富士山も、ここ入笠山からは大きい。

シートを広げて昼食にする。ここまで無風快晴の信じられないような天気だったが、正午を過ぎるとようやく、弱いながらも風が出てきた。登山者はどんどん登ってくる。1時間ほど眺めを楽しんで、下ることにする。
せっかく持ってきたので輪カンを履いていく。輪カンでなく、本物のかんじきを持ってきた人がいた。何と手作りだそうだ。履いて歩いている姿を見ると、輪の部分は足首に固定されてなく、ぶらぶらさせつつ雪面を踏んでいる。輪カンはバンドでしっかり固定して装着するのだが、かんじきとは本来こういうものなのか。雪面にフラットに着くのなら固定されていないほうが、足に圧迫感がなくていい。

登山道入口に下り、マナスル山荘で休憩する。それほど寒い日ではないが、建物の中に入るとやはり暖かく、腰に根が生えてしまう。
きなこもちを注文する。きなこが薄い緑色をしている。山荘の人に聞くと原材料は青豆だそうで、この地域のきなこはこれが普通だそうだ。

来た道を下る。登りでは気づかなかったが、樹林にまとわりついている糸のようなものは、サルオガセという寄生植物だろう。こんな冬の時期にも見られるのだ。
再び山頂駅に戻ってきた。この時間になって、空にはようやく雲が見られるようになった。行程は短かったが、山頂と山荘でそれぞれ1時間ほどゆっくりしたので、下山は3時を過ぎた。
この後道の駅・信州蔦木宿の温泉に立ち寄る。山も天気もすばらしかったが、学生時代の思い出話が楽しかった1日だった。