~中央線沿線、秀麗富岳の二山に立つ~ |
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●葛野集落から百蔵山へ 中央線猿橋駅で下車。駅から直接歩き出すコースもあるが、車道歩きが長そうなので、浅川行きのバスを使って葛野集落から登ることとする。 福泉寺バス停で下り、車道を50mほど北へ進む。「百蔵山登山道」と書かれた手作りの指導標に導かれて右折し、集落の道を歩いていく。おじさん、おばさんと朝のあいさつをする。 庭園風に手入れされた庭のある民家を右手に見、竹林の道に入る。再び手作りの導標を見た後、しばらく進むと登山口となる。あたりが開け、光り輝く富士山の頭の部分が見えてくる。雪冠はだいぶ堂々としてきた。 振り返れば岩殿山の奇妙な岩肌、その向こうに滝子山のとんがったピークが視界に入る。
道はしっかりしているが少々ヤブっぽい。尾根上に何本も道が通っていてわかりづらいけれど、どの道を通ってもさほど変わらないようだ。 植林を抜け、なだらかな道を登って行くと平坦な場所に出る。不動尊が奉られており、小さな釣り鐘がぶら下がっている。思わず指でゴーンと鳴らしてみる。 その先は突然の急坂となる。今までがなだらかだったせいか、体がついていかない。2つの祠を見たあとはさらなる急登。しかしそう長いものではなく、ほどなくなだらかな尾根歩きに戻った。 周囲はアカマツが多いが、時々雑木林も見られる。低い潅木が目立つ。ツツジのようでもあるがよくわからない。来年に向けて芽を蓄えているものもあるが、立ち枯れも多い。 大同山を越すあたりは、気持ちの良い道が続く。若干のアップダウンが続く尾根道だが急なところはない。但し展望は木の間越しである。百蔵山の山頂が見え出す。猿橋駅から直接来る道を合わせるとすぐ、東西に細長い百蔵山の頂上に着いた。
山頂は木に囲まれてはいるが疎林であり、南面に得られる眺めは広い。富士山、そして足元に広がる大月市の街並み。建物、車が日に反射してキラキラしている。 まだ10時なので日はそう高くなく、素晴らしい眺めを楽しむ。中央線、中央高速を隔てた対面には山々が連なっており、この交通機関はまさに山の間をぬって路線が作られているのだなという印象を強く持つ。
●縦走路を歩き扇山、君恋温泉へ 百蔵山から広い尾根道をさらに進んでいく。指導標があり、次に行く扇山が大きく見える。ここからはややきつめの下りとなる。 コタラ山を巻くあたりまでは下り詰めで、かなり標高を下げてしまった感がある。扇山への縦走と言っても、ひとつひとつの山が独立しているので、登り返しのきつい縦走路だ。しかし道は良く快適である。 扇山に近くなるにつれ、自然林が多くなる。さあ扇山直下の直登だ。きつい急坂の登りが30分ほど続く。 登りついたところが大久保山。前の方で上っていた人が休んでいた。どちらからともなく、「きついですねー」。しかしここからはもう、ゆるい尾根を残すのみ。
たどり着いた扇山頂上は、日がさんさんと降り注ぐカヤトの頂。20人ほどが休んでいる。さすが人気の山だ。 富士山方面はもはや逆光だが、見事な眺めである。北方に目を転じれば、すぐ右手に権現山、笹尾根の稜線。左手に小金沢連嶺のうねりを中心とした大菩薩山塊、その向こうにはなんと奥秩父主脈。甲武信岳、破風山、雁坂嶺などが見える。雪を被っているかどうかまではわからなかった。 小広く、展望も雰囲気も良く、思わず長居をしてしまう山頂である。 山頂標識近くにベンチを作っている人達がいた。こんな広いのんびり出来る山頂に、ベンチなんかいるのかな?
下山はもうひとつの楽しみ、君恋温泉に下りる。下り始めはやや急だが自然林のきれいな道だ。 しかし温泉の方向を示すやけにでかい標識が、静かな山道に不釣合いである。植林帯を抜け、神社と赤い服を着たお地蔵さんを見る。すぐ先に小さい滝があり、そこから5分ほどで2軒の家のある畑地に出た。そのすぐ下に車道が通じている。 うち1軒が君恋温泉で、見たところ普通の民家風なので気づきにくい(宿泊もできる)。インターホンで入浴したい旨を告げ、中に入る。泉質は単純泉、少しぬるめだった。 風呂から上がってビールを飲んでいると、10cmほどもある大きなみそ田楽を出してくれた。 犬目バス停から発車するバスは1時間後なので、鳥沢駅まで車道を下っていくことにした。いっしょに温泉に入っていたグループが、タクシーで追い抜いて行った。 (なお、犬目バス停から15:08に発車するバスは、成星出版社「登山・ハイキングバス時刻表」では日・祝日運休となっているが、実際は平日・土日・祝日とも利用できる。--平日は四方津駅経由上野原駅行き、土日は四方津駅経由本町三丁目行き--) |