秩父へ行こうと思っていたが早起きできず、10時過ぎの出発となった。近場でそこそこの距離を歩ける場所といったら高尾だろう。
南高尾、北高尾の両山稜ともまだ歩いていない。駅からすぐ歩き出せる南高尾山稜にした。
「圏央道」
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京王高尾山口駅。もうお昼近いとあってすごい人出。行楽客ばかりかと思ったら意外とハイカーの姿も多い。近頃のハイカーは、必ずしも早起き人ばかりではないようだ。
国道20号を南下する。圏央道の建設現場を目の当たりにする。高尾山の山腹には、腹をくり抜かれる予定の場所がコンクリートで塞がれていいる。工事は急ピッチで進むだろう。自然の豊かな高尾山だが、このあたりはホテルやら料亭やら、ケバケバしい建物が林立している。
梅ノ木平に向かう川沿いの道に入ると、とたんに静かな山里の雰囲気になる。
小坂氏宅の山の斜面にはアズマイチゲが咲き始めている。今年の春は、スミレより先にアズマイチゲを見れてしまった。カタクリは葉が出ているのが認められる。
福寿園を過ぎて林の中へ。小さなお地蔵さんの立つ場所で、左に分岐する山道に入る。登ることほんの10分くらいで稜線に立つ。草戸峠で、高尾山の眺めが得られる。
おだやかな道を進み、最後のひと登りで草戸山頂上(341m)。展望が開け城山湖の湖面が眼下に光っているが、樹林が伸びて全貌をとらえにくい。
休憩舎のある草戸山には多くのハイカーが行き来する。ザックを背負っていないマラソン風の人も通り過ぎていく。
草戸山には「松見平休憩所」という標識も立っている。以後いくつかの場所には「○○休憩所」なる呼び名がつけられている。個人的には「~山」とか、「~峠」という昔からの呼び名を大事にしたいところである。
南面は大方雑木林で見通しがいい。三沢峠付近でダンコウバイやキブシといった早春の樹の花を見る。地味な花だが、やはり花がある場所は香りがあるようで、それとも木自体が匂いを発しているのであろうか、春が近いということを森林の匂いで気づかされる。
分岐から直進して下ってしまいそうになるが、おかしいと気づき「関東ふれあいの道」の指導標に従い右折する。登山者は自分の歩いているのは登山道であり、「ふれあいの道」を歩いているという意識はあまりないので、この指導標は間違いやすいと思う。
道は尾根道と巻き道に分かれてつけられているところが多くなる。尾根道を登り、泰光寺山(475m)のピークに立つ。静かで落ち着ける場所だ。
このあたりから若干植林が多くなる。少々歩きにくい植林下の山腹道を行くと、突然南側の眺めが広がる場所に出る。
アオイスミレ
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かたわらに濃い紫のスミレが一輪咲いている。茎が無毛なので「オカスミレ」であろう。毛があると「アカネスミレ」、さらに有毛で花びらの紫色と白色がはっきり分かれているならば「ニオイタチツボスミレ」ということだ。
この3種の見分け方は会得したつもりでいるのだが、毎年春先になると忘れている。
タチツボスミレ
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アズマイチゲ
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穏やかな道をなおも行く。稜線は全体的には、緩やかに右にカーブを描くようにたわんでいる。指導標に従って、観音石像の建つ中沢山(494m)に寄り道する。
低いながらも少しずつ標高を上げているのだろう、登山道脇にはそのうち熊笹が現れて来る。目立ったピークに登り上がる。背の低いベンチとテーブルがある。山名板はないが、周囲に高い山はないからここが大洞山であろう。
今日は大洞山までとし、中沢峠まで戻って林道を下る。
薄暗い林道から出て、中沢地区の民家が現れる。道端にアオイスミレ、タチツボスミレを見る。今日見たスミレは3種類だったが、いずれも名前がわかった。
うかいの料亭の前を通り過ぎると、再びアズマイチゲと対面。今日は歩き出しの時間が遅かったので、アズマイチゲはこの時間では半分花を閉じかけている。
昼からの山歩きとしては充実していた。やはり高尾は楽しい。しかし家に帰って他のサイトを見たら、大洞山と思っていたピークはそうでないことが判明。またそのうち登り直さねばならなくなった。
高尾山は来月、春爛漫の頃にまた来ることだろう。
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