~体力と根気勝負の低山縦走~
タイトル
きたたかおさんりょう 2008年3月22日(土) 快晴

6:25JR高尾駅-[バス]-6:35川原宿大橋-6:50松竹6:55-7:10登山道-7:45八王子城跡-8:10天守閣跡-8:30富士見台8:40-8:45杉沢ノ頭-9:25林道(板当峠)-10:00杉ノ丸10:05-10:35大嵐山-10:55三本松山11:03-11:08関場峠-11:33堂所山11:45-12:30景信山13:00-[撮影30分]-14:30小下沢キャンプ場14:45-15:15高尾梅郷-15:25日影-[撮影15分]-16:50京王高尾山口駅 歩行時間:8時間

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一昨日からの雨は山地では雪だったらしく、奥多摩でも標高1000mを超えるところではかなりまとまった積雪になったようだ。しかし自分はもう雪を見に行く山行は遠慮して、すっかり花見モードになっている。
好天の土曜日、まだ歩いていなかった北高尾山稜を縦走した。


[ 新緑色のヤシャブシが青空に映える ]

まずは八王子城跡からスタート。高尾駅からバスの通る松竹から登ることにする。
高尾駅北口のバスターミナルで6時30分発の大久保行きを探すが、見つからない。仕方がないので宝生団地行きに乗り、川原宿大橋で下りて15分ほど車道を歩く。
松竹バス停に着くと同時に、陣馬高原行きのバスが目の前を通り過ぎて行った。後で知ったが、大久保行きのバスは2系統あって、バスターミナルの奥のほうで待っていなければならなかったようだ。

いずれにせよ、朝7時という早い時間から歩き出せるので、気持ちがいい。大きく深呼吸をして出発する。

この付近は山里というイメージでなく、住宅地のすぐ近くに山が迫っている感じだ。家並みを抜けると松竹稲荷神社、そしてその先のY字路を左方向に進むと八王子城跡への山道となる。指導標がないので少しわかりにくい。


城跡の天狗様

杉の植林を淡々と登っていく。枝道が何本もあるが道なりに進む。登山口から30分ほどで左側が大きく開け、八王子方面の町並みが見下ろせる。いつの間にか高度を稼いだことに気づく。
8合目で新道と合流する。自分の歩いていた道は旧道らしい。そこからひとしきりの登りで、社の建つ八王子城跡(439m)である。
高尾山にあるような天狗の像にキッと睨まれる。他に休憩舎やベンチもあって、腰を落ち着けるのにいい場所だ。しかし先客がいて、その人の連れている犬に吠えられたので、先に行くことにする。


富士見台から丹沢

自然林の尾根

景信山頂上

城跡からの下り始めは穏やかな植林下の道。井戸水場を経て、登り返したと思ったらそれ以降、細かな登り下りがいくつも続くことになる。苦労する割には樹林の中で展望はない、地味な山道である。
すべてのデコボコが自然地形かというとそうでもなく、敵の攻めから城郭を守るためのお堀のような人工物もあるようだ。甲府の要害山で見られたような曲輪も存在する。ただし要害山より尾根自体はずっと細いので、登山道としてはアップダウンの連続できつい行程となる。
天守閣跡との標識のピークを過ぎ、さらに上下を繰り返すと富士見台。ようやく眺めの利く場所に出た。白い富士山と丹沢の峰々、その間に高尾山のもっさりした山体が好対照をなしていて面白い。なかなかいい展望台である。

アップダウンはさらに続き、伐採された杉沢ノ頭(542m)、高ドッケ、さらに標高を上げて名のないピークと容赦ない。
樹林の間から奥多摩の大岳山、御前山が遠望される。これらも一昨日の雪で白くなっている。一方この北高尾の稜線にはまったく雪はない。
いったん林道に出る。小下沢への下り道を分けたあたりが板当峠、さらに狐塚峠。少し林道を進むと、青空の中にヤシャブシの芽が新緑のような色を際立たせている。

それからも杉ノ丸(612m)、クロドッケ大嵐山(おおらんざん)と杉林が優勢のピークに登っては下る。どこかのピークで夕焼け小焼け方面へ下る道を見たが、どのピークでだったかこの文章を書いている時には忘れていた。
岩場の登りを経て今度は一転、落葉樹の気持ちいいピークに出る。特に名前はないようだ。ここからは今までの行程がうそのように穏やかな道となる。
笹が出てきて山深くなってきた感がある。三本松山(611m)で少し休憩。ここも半分が自然林と笹原の地で気分のいいところだ。下ってようやく関場峠に着く。富士見台から、コースタイム2時間のところを2時間半かかった。高尾山域でこれほどの時間オーバーをするとは思わなかった。


ハナネコノメ

梅は満開

アズマイチゲ

暮れなずむ北高尾山稜

関場峠からは一本調子の登りになる。樹林をかすめて見える堂所山まで、標高差なんと180m。こんなにアップダウンをこなし、さらにそれだけ登るのだ。最高点700m程度の山に登るのに、今日は累積で2000mくらい登っているようである。まあ縦走派にはこたえられない?ルートである。
堂所山(731m)までは、しかしそれほど苦労はなかった。背後に広がる展望と笹原の快適な道に気が紛れたようだ。
若者のグループが料理を作っている。登山者も多く行き交う。ようやく本来の「賑わう」高尾山稜に一角に入ったようだ。富士山も見える山頂で一息つく。

堂所山から先は一般的には、北高尾山稜から「奥高尾」という名前に変わる。そして再び杉林の中の下りとなる。
陣馬山への道を2本分け、何人もの登山者と行き違う。ザックを背負わない人も何人かいる。景信山までは結構長い。しかし北高尾山稜のアップダウンを歩いてきた身には、街中の道路と錯覚してしまうほどに平坦な道だ。

日も高くなり、大いに賑わう縦走路を進む。あたりが開けたくさんのベンチと売店が建つ景信山(727m)へ到着。都心のビル群、丹沢などの山々、いつも通りの広い眺めが得られる。そして富士山も逆光ながら大きな姿を見せている。
今日は春霞みもなく、まさに日本晴れである。

さて下山は、小下沢林道方面とする。小下沢は春の早い時期からスミレ、ハナネコノメなどが見られる。
山腹を巻く道を下るが。以前に比べ植林が増えた感じだ。伐採されたり植林が施されたり、東京周辺の低山は数年ごぶさたしていると景観が全くまったく変わってしまうことも多い。
沢筋になるととたんに歩みが遅くなる。ハナネコノメが満開状態だ。それにヨゴレネコノメ、ニリンソウ、タチツボスミレ、エイザンスミレ、ナガバノスミレサイシンとそれぞれ数は少ないながらも咲き出している。
三脚を取り出してゆっくり撮影しようと思っていたら日が翳ってきた。狭い谷筋は撮影の時間を考えないと昼間でもすぐ暗くなってしまう。

沢沿いをたどって小下沢キャンプ場に下り、あとは林道を日影まで歩く。左斜面にアオイスミレ、ヤマルリソウを見る。この斜面を登ると、すぐに今朝歩いた北高尾山稜に上がれるはずだ。すぐの距離を、今日は半日かけて大回りしてきたことになる。
林道出口の梅林には多くの見物人がいる。今がまさに満開だった。

日影バス停に着くが、今日はこうなったら駅まで歩くことにする。小仏川沿いの遊歩道はそろそろ日が傾き始めで、アズマイチゲもほとんどが花を閉じている。2輪だけきれいに開いているのがあった。
高尾山口駅まで、総計22キロの長丁場だった。明日はちょっと筋肉痛かもしれない。


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