~富士山を見る展望の尾根~
タイトル
きっかさん(643m)
2005年12月10日(土) 快晴

6:40中央線大月駅-6:50無辺寺-7:27菊花山7:45-8:10反射板-8:30沢井沢ノ頭-8:45馬立山8:50-[展望地20分休]-10:00植野山-10:20登山口-10:40富士急行線田野倉駅
歩行時間:3時間7分

マップ
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富士山の眺めがいい中央線沿線の山「秀麗富岳12景」は一通り登ったが、近くに富士展望の山はまだまだある。
大月駅のすぐ後ろにある菊花山は、駅から1時間足らずで登れてしまうにもかかわらず、山頂からの展望は360度で富士山も見れるということだ。しかも九鬼山から尾根続きとなっていて道もあるので、登頂後に縦走することも出来るなど、コース設定の自由度もある。
山手線の一番電車に乗って、朝日に輝く富士を見に行った。

菊花山から富士山
菊花山から富士山

大月駅からまっすぐ進み交番のところで右折。息を白くしながら地元のウォーキングの人が通り過ぎる。
車道を少し歩くと、もう富士山が大きい。朝日に照らされて白く輝く。大月市街の向こう側には大菩薩山塊の山々が赤く染まっている。ガタガタ震えるほどに寒いので、自動販売機で缶コーヒーを買う。

右側に学校が見えたところで道路をくぐり、その道路に上がったところにお寺がある。この無辺寺が菊花山の登山口となる。地元のおばさんが数人、お参りに来ている。
指導標などは見当たらないので、若干の不安を感じながら急な石段を上がる。
墓地を横に見ながら上がったところの小さな境内に「菊花山」と掲げられており、ここが登山口で間違いないと思う。山道となり少し上がると、おなじみの大月市の指導標が立っていた。これで一安心。
影菊花
"影菊花"
菊花山から百蔵山方面の展望
百蔵山方面の展望

鉄塔を過ぎて、西側に見えていた急な尾根を乗っ越し、さらに西側に回り込む。山腹の緩い登りののちに尾根上となる。
雑木林は所々見通しが利いて、杓子山や富士山方面の展望が大きく開ける。葉の落ちた時期のみの眺めではあるが、場所によっては夏でも富士山の展望が得られそうだ。
エアリアマップに登山道の表示がないだけあって、少々ヤブっぽいところはある。しかし踏み跡ははっきりしている。何より見通しのいい尾根道なので気分がいい。

支尾根からさらに尾根に上がると指導標があり、大月駅から来るもう1本の登山道と合流する。雑木の気持ちよい登りは続く。道志山塊の稜線から太陽が顔を出し、次第に暖かさが増してくる。

上に見えているピークに登り上るとヤセ尾根となる。緩い登りの間、北側を見下ろすと黒い三角形が大月市街地を覆っている。菊花山そのものの影である。山形・秋田県境の鳥海山は朝、日本海に影鳥海を投影するが、これはそのミニチュア版だ。
菊花山のおかげで大月の市街地は、朝、お日様の当たり始める時間がかなり遅くなる。そのため「貧乏山」などという不名誉な別名もあったようである。
同じ程度の標高で、大月駅の北側に位置する岩殿山が武田氏の伝説で広く知られるのに比べると、菊花山の不遇さがいっそう際立つ。しかし登る側にとっては爽快この上ない山である。

ヤセ尾根を10分程度で、丸い岩の目立つ菊花山頂上に到着。ほぼ全方位が見渡せる。
富士山や大菩薩山塊、北東側には百蔵山と扇山、そして馬立山などこれから歩く稜線、その奥の道志の山々もクリアに眺められる。ただひとつ、南アルプスは厚い雲の下のようだ。

富士山は風が相当強いらしく、5合目より上でさかんに雪煙が舞っている。それが風にあおられて頂上より高く雲のようになびいている。
滝子山、破魔射場丸など南大菩薩の山は、雪をかなりしたためているようだ。ドカ雪が降ったわけではないが、気温が低い日々が続いている関係で、積もった雪がなかなか溶けないのだろう。

菊花山から岩がちの尾根を下る。依然として雑木林の多い快適な道だ。しかし硬い地面を落ち葉が覆って滑りやすい。
冬の登山道は、アカマツや杉林が出てくると多少湿り気が出てきて歩きやすいのだが、雑木林下の日当たりのよい所は落ち葉道がかえって滑りやすくなる。急でない場所でもうっかりのスリップに要注意だ。
「菊花山ながめよし」
「菊花山ながめよし」
南西面の展望が開ける
南西面の展望が開ける
九鬼山が大きい
九鬼山が大きい

小さなピークを越えて再び下りになる。少し行くと小さな矢印を見つけて、右側の小道に入る。ここは尾根通しに直進してしまいやすい。
かなり高度を下げて太陽も再び前方の尾根に隠れる。反射板付近の笹深い鞍部を過ぎると、沢井沢ノ頭への登りになる。「菊花山 ながめよし」の古い標識が掲げられている。

急登しばしでお日様との再会、沢井沢ノ頭(740m)に登りつく。猿橋方面からの縦走路との合流点だ。
2年前に、ここで菊花山への指導標を見た覚えがあるのだが何もない。記憶違いだろうか。

コナラとアカマツの尾根を進む。体がポカポカして気持ちいい。覆いかぶさるような岩尾根から左の巻き道に入り、馬立山頂上(797m)。木に囲まれているが枝越しに富士山が望める。
予定ではこのまま九鬼山まで登るはずだったが、何となく気が変わり、馬立山から西に伸びる尾根を下ることにした。ここはエアリアマップには描かれていない道だが、25000地形図には途中から破線で示されている。歩くのに問題はなさそうだ。

札金峠への下り道を分けて「植野山を経て田野倉駅」という小さな標識に従って直進する。若干檜林が多くなるが、穏やかで歩きやすい。
植野山
植野山
トーマス機関車のイラスト
トーマス機関車のイラスト

分岐から10分ほどで富士山方面への切り開きがあったので、そこで休憩する。しかしもう少し先に行ったところに南西面が大きく開けた展望地があった。
国道139号と中央高速が富士山に向かって伸びる。三ツ峠、杓子山、倉見山、御正体山。目の前には九鬼山が高い。富士山の斜面には相変わらず強い風が吹き荒れているようだ。

巻き道を見送って正面の踏み跡を登る。植野山(667m)には四方を石に守られた三角点があった。
さらに雑木の尾根を下る。はるか眼下に見えていた田野倉の集落がぐんぐん近づいてくる。
やがてコンクリートの上に下り立つ。車道かと思ったが用水路の上だった。少し南に歩き、小道を下って御嶽神社の前に出る。後は民家と川の間を歩き田野倉駅まで10分ほどだった。

登り出し早かったせいもあってまだ10時を過ぎたばかり。こんなにいい天気でもったいないと思いつつも、大月駅から東京への帰途に着く。


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