山の写真集 > 中央線沿線 > 犬目丸から扇山
-早春の明るい稜線-
タイトル
梁川駅-犬目宿-犬目丸-扇山-猿橋駅
山域中央線沿線
地域山梨県
標高犬目丸(861m)、扇山(1137m)
山行日2011年3月27日(日)天気1
沿面距離16.0km
歩行時間6時間20分
標高差848m(梁川駅~扇山)
宿泊-
温泉-
交通中央線、京王線Home



2011年3月27日(日)

代々木駅5:24
 中央線
6:22高尾駅6:28
 中央線
6:54梁川駅
7:25大田峠
8:25犬目宿
8:35安達野8:40
9:10金比羅神社
9:40犬目丸9:50
10:12山谷分岐
10:35扇山11:05
11:12大久保山
11:55宮谷分岐
12:20林道
12:45水道濾過施設
13:15宮谷
14:00猿橋駅14:16
 中央線
14:47高尾駅14:55
 京王線
15:45新宿駅


関連リンク
[記録] 百蔵山・扇山
上野原市
富士急山梨バス


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ガラガラの中央線を、梁川駅で下りる。まだ7時前、小さな駅舎の周囲は、時が止まったように静まり返っている。
すぐに天井の低いトンネルを頭を低くしてくぐり、線路の北側に出る。しばらく線路沿いに西のほうに進む。前方にわだかまる灰色のやまは斧窪御前山だろうか、低い山でもまだ冬の姿のままである。
道で見かけるのはオオイヌノフグリくらいで、春の花はまだ顔を見せていない。それでもどこかの林からか、ウグイスの初鳴きを得た。


犬目丸の登りにて富士山を望む

線路を離れるとやがて、右手に山道が伸びている。大田方面を示す標識が立っていた。階段状の道を登っていく。

両脇の篠竹の背がだんだん高くなってくる。樹林帯に入り、ほどなく大田峠にたどり着いた。木に貼られたプレートが峠であることを示すのみで、特徴のある場所ではない。
正面に進む尾根道はヨソ木山から斧窪御前山に至る踏み跡のようだ。今日は右手のはっきりした道を下る。あっけなく大田の集落に下り立った。

梁川駅
大田峠
犬目宿
犬目丸

今日は扇山へ、今まで歩いたことのないルートで登る。甲州街道の古い宿場町である「犬目宿」を経て荻ノ丸~犬目丸と登り東側の尾根伝いに扇山に登る。車道歩きが長く時間のかかるルートなのであまり歩かれていない。犬目まで運んでくれる路線バスはあるが、本数が少なく登山には使えない。

大田集落を抜けると、突然シュー、シューと車の音。中央自動車道である。静かな山間の集落から、雰囲気がガラッと変わってしまうのが中央線の山らしい。
高速を渡った先で道が何本かに分かれてくる。ちなみに指導標などというのはないので、とりあえずまっすぐ進む。そしたらその道はゴルフ場に突き進み、グリーンの中を横断することになってしまった。
近道をしようとするとキャディーさんに注意されてしまう。このような自粛ムードの中でも、悠々とゴルフをやる人はいる。ちょっと安心したり呆れたりで、複雑な気分だ。

右方向に進み、上がった車道が県道30号だった。白馬不動尊の鳥居が見える左方向に進むと、君恋温泉に至るようだ。犬目宿は右に、少し下り気味に行く。扇山に直接行く山道が分かれていたが、今日は犬目丸を経由することに決めていたのでやり過ごす。
「空」と書かれた大きな丸い石碑がある。この先が犬目宿だが、今は宿場町の面影はない。バス停がその場所であることを示しているのみだ。日差しをいっぱいに浴びた静かな山村の趣である。
10分ほど歩くと安達野バス停があり、左の細道に入る。安達野集落をさらに5分ほど歩き、民家の間から伸びる細い道を登っていくことにする。少し高度を上げると、富士山が大きく望まれた。すぐに植林帯に入る。

急なジグザグをこなし、金比羅神社の鳥居を見ると明るい雑木林の道となる。富士山も見えている。春の花はまだ咲いていない。
やがて尾根の背に上がると、積雪が見られるようになってきた。アカマツやコナラの気持ちよい尾根を進み、こんもりした犬目丸の山頂に着いた。どうやら荻ノ丸のピークは気づかずに通り過ぎたようだ。

道志の山々
雪だるま
ダンコウバイ
アオイスミレ
シュンラン
犬目丸からは木の間から富士山も見えるが、丹沢や道志の白い峰々が堂々としていて目をひく。扇山のように広い場所ではないが、暖かくて休憩にいい。

扇山方面へ足を向ける。君恋温泉への道を分け、さらに山谷・鳥沢駅への下山道を見送る。高度を上げるとさらに積雪は増してきた。扇山直下は直線状の急登となる。何人かの登山者とすれ違う。
登ると視界は開け、日当たりがよくなると共に雪も無くなる。扇山頂上の標識には、誰かが作った小さな雪だるまが、今にも溶け落ちそうに乗っかっていた。

5名ほどの登山者が滞頂している。この山にしてはやはり寂しい。富士山は大方雲に隠れ、いつしか頭上の空も雲が支配しつつあった。北方向を見ると大菩薩連嶺の破魔射場丸だろうか、カヤトの斜面が真っ白になっている。遠く南アルプスも白銀のエッジを見せていた。
低い山はそろそろ春の雰囲気をかもし始めているが、他はいまだに冬の姿のままである。

大久保山のコルを経て、稜線を西に進む。薄い雪が急斜面にべっとりとついている。アイゼンを持ってくるのを忘れたことに気づいたが、なくても問題なさそう。
扇山頂上から最低鞍部までは、高度差350m以上の下りとなる。逆方向で、百蔵山から扇山へ縦走となると、相当つらいだろう。自分も10年前に一度やっているが、たしかに大変だった。ゆるやかな登り返しに転じ、宮谷分岐となる。天気も下り坂のようなので、今日は百蔵山への登頂はやめておく。

分岐から下ると、あっけなく林道に出た。沢沿いに進むと日当たりのよいところにタチツボスミレ、さらにシュンランが見られた。カタクリも一輪、つぼみのものがあった。
これら春の顔ぶれが山の中で見られるようになるのも、間もなくだろう。猿橋駅までは車道をかなり歩くこととなったが、何とか駅から駅まで歩き通せた。