~南アを真正面に見る小峰~
タイトル
あらくらやま(1132m)
2008年4月12日(土)晴れ時々曇り

目黒IC-[首都高速、中央自動車道]-韮崎IC-[県道27号、国道20号]-8:20穴山橋-8:50龍珠院(登山道入口)-9:25平川峠-10:05稜線-10:10荒倉山10:50-11:20平川峠-12:35円池分岐-12:40円池-13:00龍珠院-13:30穴山橋 -[国道20号、七里岩ライン]-新府桃源郷-[県道603号]-須玉IC-[中央自動車道]-調布IC歩行時間:4時間30分

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荒倉山は中央線穴山駅近くの、小さな山である。
穴山駅というと、甲府よりも韮崎よりも西にあり、東京からは日帰りで行くのもひと苦労だ。しかし八ヶ岳や南アルプスに近く、展望が期待できる。登山の行程自体は短いので、他の山と合わせて1泊2日とするなど、プランに工夫を施したい。
今回は車でアプローチし、帰りに新府地区の桃の花を見ていくことにした。

[ 荒倉山頂上から地蔵岳を正面に見る ]

韮崎ICを出るころはすでに南アルプス甲斐駒が大きい。穴山橋を渡りしばらく行くが、目当ての無料駐車場が見当たらない。あちこち走り回ったあげく穴山橋まで戻ると、すぐ脇の公園の入り口に駐車場があった。

荒倉山・平川(たいらかわ)峠を示す指導標に従い、タバコ屋の横の道に入る。南アルプスの雪の稜線が見える。
そのすぐ手前に見えるわだかまりが荒倉山だろうか、これなら、ここからすぐに登れてしまいそう。もしその左に高くそびえる雪山が荒倉山だとしたら、今日は大変な行程になる。

地元の人が話しかけてきた。「荒倉山ですか?ここから一本道ですよ」どっちのピークが荒倉山か聞いたら、手前の低いほうだという。左の高いピークは、後で調べたら御所山だった。


八ヶ岳の眺め

里道を行く

サクラ越しに荒倉山

保育園の横を過ぎ見通しのよい農道を行く。振り返れば七里岩が横たわり、その左手には八ヶ岳の姿が裾野までくっきり捉えられている。
この道は、古くは平川峠・御座石鉱泉を経由して鳳凰三山に登るメインルートだったそうだ。いつ頃のことかというと、やはり御座石鉱泉までのバスがなかった頃の話だろう。鉱泉まではバスで行っても長く感じるのに、昔の岳人は相当な健脚と、忍耐強さを持っていたのだなと感心するばかりだ。
龍珠院は桜が満開、手前の墓地にはネコノメソウが満開だ。振り返ると茅ヶ岳が、八ヶ岳と同じ様に裾野まで余すところなく姿を見せている。

龍珠院のすぐ先に駐車場、そして登山口がある。分岐になっていて、一方は円池(つぶらいけ)から来ている道だ。帰りはその方向から戻って来る予定である。正面の、荒倉山を示す方向に進む。
周囲の雑木林はすでに淡い芽吹きが始まっており、日を透かして若葉が光る。山が1年のうち今の時期だけ見せる、一瞬のきらめきだ。
落ち着いた樹林下の道を緩く上がっていく。標高を上げると次第に芽吹いた木もなくなり、やがて荒倉山林道に行き当たる。平川峠で、ここで初めて甲斐駒の姿が見られる。
林道を少しだけ歩き再び山道へ。傾斜がつき少し山道らしくなる。再び林道に出ると、背後に広い眺めが得られる。林道は未舗装だが、ここまで車で来てしまうと少々味気ないだろう。
一組の夫婦が下りてきたので挨拶する。今日は人に会わないと思っていた。

林道はすぐ終わりになり、そこからは荒倉山直下の急登が始まる。入口にかかしの指導標が立っている。へのへのもへじなんてのは久しぶりに見た。
カラマツ林の明るい道はかなりの急斜面。今までが楽な行程だったので、始めのうちは体が慣れない。
穴山橋付近から見た荒倉山は小さく、すぐに頂上に着いてしまいそうな印象だったが、見た目以上に足を使わせてくれる山だ。
長い登りをこなしようやく斜度が緩む。もしかして頂上かと思ったが、先にもう一段高くなっている所がある。実際の頂上は下から見えていたピーク、すなわちここからさらに奥に5分ほど歩いた場所にある。


へのへのもへじ

見事なキブシ

芽吹き盛ん

すぐ先に切り開きがあり、八ヶ岳が大きく望める。傍らには「つぶらの松」という、地元の円井(つぶらい)地区の人が名づけた松が1本立っている。ここまで特に開けた場所がなく、久しぶりの展望を楽しむ。

緩やかに登り、山名柱のある荒倉山に到着する。樹林に囲まれて展望はないが、富士山方面が切り開かれている。しかし今日は霞んでいて、富士山は見られない。
進行方向にさらに少し歩くと、やはり樹林が刈られ、そこから残雪の鳳凰山が、真正面にデンと居座っていた。これだけ近くで南アルプスの高峰を望めるのも、あまりない。地蔵岳頂上部のオベリスクの突起もよく見える。
他に甲斐駒方面も見られるのかなと思っていたが、それはここ頂上からは無理なようだ。

鳳凰山を見ながら休憩しているうち、ぽつぽつと登山者がやって来た。地味な山の割にはけっこう登られているようだ。駅からのアクセスがいいからだろうか。
そろそろ下山にかかる。平川峠までは来た道を下る。10名くらいのグループ2組と出会う。
平川峠からは、正面の荒倉山林道を歩いて下山することにする。なお、左の道に入ると小武川の河原に出て、それでも下山できるようだがかなりの遠回りである。

荒倉山林道は未舗装だが、車が十分に通れる幅広の道だ。平川峠から歩くと緩やかな登りとなる。
芽吹きはまだだが木の花がよく咲いており、ダンコウバイ、ミツバツツジ、アブラチャン、クロモジなどが見られる。そしてキブシが立派過ぎるくらいに咲き揃い、まるでウインドチャイムというパーカッション楽器のような形をしていて面白い。
1箇所南アルプス方面が開けている場所があり、そこからようやく甲斐駒が見られた。道が方向を東に向けると八ヶ岳も見えるようになるが、樹林が邪魔をして写真を撮れる場所がない。
穴山方面の街並みと七里岩を見下ろしながら行くと、大木が倒れて林道を遮断していた。その向こうで車が2台、通れないでいる。林道をあてにして山に車で来ようとすると、時々こういうことがあるから注意が必要だ。
その先でリスが木に登るのを2回も見る。


円井集落から荒倉山

新府桃源郷

登山口に戻る分岐にようやく来る。再び山道に入り、円池の説明板を見る。池ではあるが水はなかった。
キー、キーとサルの鳴き声が聞こえる。足元を見るとムラサキケマンが群落をなして咲いていた。朝通った登山口に戻ってきた。

のどかな農道を、穴山橋の駐車場まで下る。よく見ると正面の七里岩も、あちこちがミツバツツジの紫色で彩られている。
その七里岩の上部に新府城跡がる。ここの桃畑がほぼ見頃とのことなので、見ていくことにする。車で来ているので容易に行くことが出来た。

ここ新府桃源郷は観光バスも乗り付けてくるほどのかなりの人出だ。南アルプスや茅ヶ岳をバックに桃畑が広がる、場所的にも最高にいい観光スポットである。釈迦堂と甲乙つけがたい。
もう午後2時を過ぎて南アルプスは雲をかぶってしまったので、写真は今ひとつだった。午前中の光のいい時間にまた見てみたい。


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