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2010年11月21日(日)
| ◇ | | 新宿駅 | 6:11 |
| 京王線 |
7:22 | | 高尾駅 | 7:46 |
| 中央線 |
8:08 | | 上野原駅 | 8:28 |
| 富士急山梨バス |
◇ | 古福志 | 8:55 |
9:15 | 神田木橋 | |
9:25 | キャンプ場 | |
9:52 | 563m地点 | 9:55 |
10:25 | 710m地点 | |
10:45 | 阿夫利山 | 11:30 |
11:45 | 井戸沢ノ頭 | |
12:10 | 金剛山 | 12:25 |
12:55 | 林道 | |
13:10 | 秋山温泉 | 14:40 |
14:50 | | 富岡入口 | 15:05 |
| 富士急山梨バス |
15:26 | | 上野原駅 | 15:55 |
| 中央線 |
16:12 | | 高尾駅 | 16:21 |
| 京王線 北野駅乗換え |
17:15 | 新宿駅 | ◇ |
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阿夫利山という漢字は、わかったつもりでもいざ書くとなると間違えやすい。阿不利山とか書いてしまう。
語源は「雨降り」なのだろうが、全くの当て字かと言うとそうでもない。丹沢の大山も別名を雨降山、または阿夫利山とも呼ぶ。この名を持つ山は他にもありそうだ。
上野原町秋山地区の阿夫利山は標高700m台で、標高だけ見れば手ごろな里山の印象だが、広く知られた山ではない。一般的な登山コースは金波美(かなはみ)峠からの往復が唯一。周囲には石老山、高柄山、二十六夜山などハイキングに適した山が集まっており、道志山塊も近い。特に難しそうな山ではないので、不思議である。
一方、バリエーションルートは各方面から伸びており、今回もそのひとつを登る。初めて登る山でバリルートを取るのはあまりやらないが、車道を長々と歩くことのない、小和田からの登路を行くことにする。
コナラが色づいた阿夫利山山頂
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上野原駅でバスに乗ると、「こんにちは」と声をかけられた。かずさんに久しぶりに会った。今年、ちょっとしたことで有名になってしまった人である。この日はその因縁?の高柄山に登る予定だと言う。
無生野行きのバスは、いつもせいぜい数人しか乗客を見ないのだがこの日は満員で立ち客もいる。同じく阿夫利山に登る20名の団体さんがいたためだ。富岡入口から林道を歩き、阿寺沢から登るそうなので、山中で会うことはなさそうだ。
古福志(こぶくし)で下車し、進行方向に歩く。秋山地区の静かな住宅地が、やわらかな秋の日に揺らめいている。薄い霧が山肌をなでて立ち消える。どこか懐かしい風景である。
左に古峰神社参道入口、右に高柄山登山口を見る。その先で橋を渡ると左手に階段があるので、これを下りていく。
その先で吊り橋が現れる。「夢の架け橋」とはよくも名付けたものだ。それを渡って木段を上がると、テニスコート、バンガローの立ち並ぶ「緑と太陽の森キャンプ場」に出た。ここが阿夫利山の小和田コース取り付き点となる。
| あずまやから取り付く |
| 岩場の急登 |
| 黄葉が見頃 |
| 阿夫利山山頂 |
| 指導標はここだけ |
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高みを目指していけばいいのだが、少々わかりにくい。舗装された道を歩かず、右側のプレハブの脇を通って木段を上がるとあずまやがある。周囲はモミジの赤がきれいだ。その先の舗装道を横切り(先の舗装道をそのまま歩いても大丈夫だった)、バンガローの間を縫って登っていくとようやく尾根筋に乗る。
緩やかな登りであるが、笹が肩の高さくらいあるところもある。倒木にもあちこちで出会う。細い尾根でルートを外す心配がないからか、テープの類はほとんどない。
次第に急傾斜となる。右手に見下ろす秋山の家並みからは、何頭もの犬がこぞって吠えまくっているのが聞こえる。犬一頭が吠え始めると、それが伝染して回りの犬が全部吠え出してしまう。こういう「近所の音」を、自分の家の周りでは耳にしなくなって久しい。
563mピークからいったん下降する。踏み跡は左右に植林と自然林を分けていたが、高度を上げるにつれコナラなどの自然林が優勢になる。紅葉の始まった木々を隔て、阿夫利山北尾根が覗く。
次第に尾根がやせ、露岩を縫っての急登となった。ナイフリッジ状の部分もあって、凍結でもしているとかなり難しくなりそう。難路の距離はそう長くなく200mくらいだった。急登は続くが岩はなくなる。
最後のひと踏ん張りで710m圏に出た。稜線というより小さなピークであり、「中央線の山を歩く」ではここを高見山と紹介している。樹林の中で眺めはない。
とても狭い場所なので、回りを眺めているうちにどこから登ってきたのか、わからなくなってしまう。ここを下山路とする場合は、木に巻かれたビニールテープが唯一の頼りだろう。
南東方向へ薄い踏み跡を下ると、金波美峠からの登山道に出た。上野原町が整備した道だが、篠竹などヤブっぽい。頭上は紅葉したコナラが青空に映える。しかし展望には乏しい。
2つほどコブを巻き、左側の踏み跡に入る。コナラが見事に紅葉した中をひと登りで、狭い阿夫利山山頂に着いた。
小さな手書きの山名標板が立ち木にかかっているだけで、地元の仰々しい標柱などもない。眺望も、わずかに大室山が覗くくらいである。確かにあまり人の来るような場所ではないとわかった。
そのうち、一人やってきた。同じバスで金波美峠から登ってきたと言う。先ほどの20名の団体はというと、下のほうで声がかすかに聞こえるが、まだ当分登って来そうにない。樹間の静かな山頂である。
| カエデ紅葉 |
| 自然林のトンネル |
| ダンコウバイ |
| 古峰神社 |
| 初冬の風景 |
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先に山頂を辞した人が、また戻ってきた。この先の道がわからないという。行ってみると、たしかにこの先の急斜面が落ち葉でわかりづらくなっていた。方角的にはこれを下ってよさそうなのだが、ここは確実に、先ほどの山頂直下の道に戻ってから、あらためて北方向へ進むことにした。
山頂南側をトラバースするように歩いていくと、尾根が分かれるところで初めて指導標が現れた。「富岡」を示している方角に進む。さっきの斜面を下ったら着いたであろう地点にも来た。
井戸沢ノ頭までは、自然林に囲まれた平坦で気持ちのいい尾根歩きとなる。コナラの紅葉はまだ新鮮で、カエデも多い。何度も立ち止まって写真を撮る。井戸沢ノ頭の広い平坦地に来る。もう一人の人は北尾根を下っていった。自分はここから右手の尾根に入り金剛山を目指す。
指導標はなく、地形図とテープを手がかりに幅広い尾根を下る。高度を落とすと緑の木々も増えてきた。自然林の尾根は続いており、ここの紅葉はもう1週間先でも間に合いそうである。
植林のボサ山という印象の強い阿夫利山だったが、上部はコナラなどの落葉樹が多く、新緑時もいいだろう。また、春先にはシュンランなど様々な花が真っ先に姿を見せそうな山である。
気分のよい尾根歩きだったが、金剛山へは岩がちのきつい登りとなる。着いた山頂には2つの祠があった。「古峰神社」と書かれている。これは栃木県鹿沼の古峰ヶ原神社のことらしい。前日光の地蔵岳や薬師岳などの登山口にもなっているところだ。
古峰ヶ原神社近くにも修験の山で金剛山瑞峯寺というのがあるので、ここは分社ということになるのだろうか。朝見た古峯神社参道入口の標は、こことはまた違う場所である。
金剛山からは北に伸びる尾根を見送り、杉林沿いの緩やかな下りに入る。
ここから先はもはや踏み跡とは言えず、立派な登山道になっていくのだが、歩く人はそれほど多くないようである。杉の葉が敷き詰められた道は柔らかく、足裏が心地よい。富岡の集落もすぐ下まで見えてきた。真北に延びた道をどんどん下る。
林道に下り立ったところは、富岡地区を一望出来る所だった。金ピラ、高柄山もよく見えるこの林道上が、本日唯一の眺望の地となった。
里道を下り、秋山温泉までは10分足らずである。「秋山ネスパ」という名で、プールもあるような施設だが、温泉はなかなかいい。泉温37度のぬる湯が気持ちよく、10分も入っていると眠たくなってくる。
日曜日は送迎バスがないため路線バス利用となってしまうのだが、今日は行程も短かったのでゆとりがあった。
富岡入口バス停まで戻ると、阿夫利山と金剛山のかわいい山体が青空に映えていた。
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